# マーケティング

なぜ企業は、自ら首を絞めるような「価格競争」に陥るのか?

「脱コモディティ化」に必要なもの
陰山 孔貴 プロフィール

新機軸のイノベーションの実現

価格競争が激化する前に、必要になるのが新機軸のイノベーションを起こすことになります。

たとえば、以前にネスレが発売したネスプレッソやT-Falが販売した電気ケトル、ダイソンが発売した吸引力を売りにした掃除機は新機軸のイノベーションであり、新たな価値を市場にもたらしました。

ただ、一方でこのような新機軸のイノベーションを実現することは容易なことではありません。

 

イノベーション創出の難しさ

この理由は、市場の誰もが気づいていない新機軸のイノベーションの「種」に対し、開発が始まる前に、企業内にそれを理解できる人がいるということはなかなかないことだからです。

photo by istock

また、画期的な製品やサービスでさえも、顧客がその価値を見出し、理解できなければヒット商品にはなりえません。

また、企業は一般的に機会よりも脅威に強く反応します。競合企業に先行されることは企業にとって深刻な脅威にうつります。

企業が努力し、競合企業のベンチマークをすればするほど企業は競合企業の模倣に走ります。

すでに世の中にある他社の製品・サービスについては既存の評価基準にそって分析・改良することができますので、新機軸のイノベーションを目指すよりもそこに注力する方が社内のみんなの合意も得やすいのです。 

一方、新機軸のイノベーションとなるような製品・サービスの開発においては競合企業の情報を利用することはできません。

一般的に企業は顧客が既に価値があると判断している製品・サービスの特性に焦点をあて、競争を優位に進めるための能力や知識の蓄積、組織間関係の構築、組織ルーティンの設計を行っています。

それらが、逆に足かせとなって新機軸のイノベーションを実現することを抑制してしまうのです。