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# マーケティング

なぜ企業は、自ら首を絞めるような「価格競争」に陥るのか?

「脱コモディティ化」に必要なもの
パソコン、テレビ、デジカメ、スマホ……、苦労しながら開発した新製品が、数年もしないうちに価格競争に巻き込まれてしまう。そんな「コモディティ化」がいまあちこちで起きています。
なぜ企業は価格競争に陥るのか? 理解しておきたい顧客心理とは? 脱コモディティ化の秘策はあるのか?  新刊『脱コモディティ化を実現する価値づくり−競合企業による共創メカニズム』を出版した、獨協大学経済学部経営学科准教授の陰山孔貴さんによる特別寄稿です。

「安い」は嬉しく辛い道

お店に行って「安い商品」を見つけたりすると妙に嬉しい。多くの方が感じることではないでしょうか。

ただ、一方で製品・サービスを提供する企業の立場になるとこれほど困ったことはありません。

 

みんなで力を合わせ、苦労しながら開発した新製品・サービスを提供しはじめた途端、「価格」が下がってしまう現象を「コモディティ化」と言いますが、今やこの現象をあちこちで見ることができます。

たとえば、スマートフォン、パソコン、テレビ、デジタルカメラなど多くの製品やサービスが以前に比べてずいぶんと安い価格で手に入るようになっています。

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コモディティ化はなぜ起こるのか?

コモディティ化が生じる要因についてはいろいろな要因が絡み合っているので一概には言えないのですが、「オーバーシュート」が主な要因になっていることが多いです。

オーバーシュートとは、製品・サービスが顧客の求める水準を超えてしまうことを指します。

このオーバーシュートが生じれば、その製品・サービス市場は遅かれ早かれ、コモディティ化に陥ることになります。

なぜなら、顧客の求める水準を超えてしまったということは、企業が製品のスペックを上げても顧客は喜ばないため、「価格」というわかりやすいポイントに顧客と企業の視点が絞られることになり、価格下落が生じます。

2つのオーバーシュートとは?

価格下落の発端となるこのオーバーシュートには2つのタイプが存在します。

1つ目は、必要以上にハイスペックになってしまうタイプのオーバーシュートです。

例えば、テレビであれば「4Kテレビは欲しいが、8Kテレビは必要ない」など顧客ニーズには限りがあります。

2つ目は、無駄な機能やサービスを提供する、広がりに対するオーバーシュートです。多くの企業は差別化を行うために、新たな製品・サービスを市場に投入しますが、それは多くの顧客にとっては不要であることが多いです。

例えば、我々が使用しているスマートフォンも多くの機能が搭載されていますが、大抵の方はその機能の一部を活用しているのみでしょう。