仕事がきついという事実を誰かに言う

「疲れた」と口にすることは、今やっている仕事を放棄するようなことになるから言えない。心配をかけたくないから、親や家族には言えないという人がたくさんいます。けれども、ぜひ限界が来る前に誰かに話して下さい。友達でも先輩でも労働組合でもいいです。とにかく1人で悩まない事が大切です。

一番怖いのは、忙しい状態が当たり前になってしまうこと。いわゆる「茹で蛙理論」を思い出してください。水に入れてゆっくり温度を上げていくと、蛙は熱湯になったことに気づけず、茹で上がって死んでしまう。ゆっくりとしたビジネス環境の変化に対応する難しさを示す寓話ですが、労働もそれと同じで、ベースが大変だと、その大変さに気づけないのです。自分の労働時間を計り、一般的な人と比べて自分がいかにおかしいかを知ることが大事です。

もう1つ厄介なのが「やりがい」です。やりがいのある仕事だから、つい限界を超えてやってしまうという気持ちは理解できます。会社側が社員のやりがいを悪用・搾取しないことが大前提ですが、そのうえで、働き手ひとり一人もマインドチェンジが必要かもしれません。

たとえば私のような記者の仕事だと、確かに1日中働けば記事を1週間に3本書けるかもしれない。でも、そこを1本にすることで健康を維持しながら30年働けば、トータルで同じくらいだなと。そういうふうにマインドを変えたいと思うのです。

「働き方改革」の落とし穴に注意!

最近は「働き方改革」といって、夜は残業をさせずに社員を帰す企業が増えてきています。けれどここにも落とし穴があると思います。仕事量は同じなのに、やみくもに「早く帰れ」と言う事例もあるのです。

「残業はするな、生産性を上げろ」となると、社員には大きなプレッシャーがかかります。その結果、休憩もままならない状況で働かざるを得ないとなると、本末転倒です。改革というと聞こえはいいですが、今後はそういうところにも気を付ける必要があると思います。

前のめりで働くのは、ビジネスの世界では良いこととされているかもしれません。けれど、それによって毎年100人規模の人が――しかもこれは労災認定された人のみ。実際にはこの数字以上の人が過労死していると思われます――亡くなっていることを考えると、本当にそれでいいのだろうかと思うのです。