少し前の自分とよく似ていた

ある時、私はあるご遺族から過労死問題について書かれたリーフレットを渡されました。そこに載っていたのが、お父さんを過労死で亡くした6歳の男の子・マーくんの『ぼくの夢』です。別の記事でもご紹介しましたが、改めてここに記します。

│ぼくの夢│  

大きくなったら 
ぼくは博士になりたい 
そしてドラえもんに出てくるような 
タイムマシーンをつくる  

ぼくは 
タイムマシーンにのって 
お父さんの死んでしまう 
まえの日に行く 
そして 
「仕事に行ったらあかん」て 
いうんや

当時の私は、毎年100人以上の死者が「過労死」として労災認定されていることを知識として認識してはいましたが、それはあくまでも「他人ごと」。でもマーくんの詩を読んだ時に、初めて「自分が死んだら、生まれたばかりの息子は、妻はどうなるんだろう?」と思ったのです。

しかも、遺族の方に亡くなった方の生前の状況をうかがうと、「よく寝言で仕事の話をしていた」「休日、何もしないでいると、夜になって『本くらい読めばよかった』と後悔していた」など、出てくるエピソードが少し前の私ととてもよく似ているのです。それを機に私のなかで過労死は、「他人ごと」から「自分ごと」へと大きく変わっていきました。

徹夜で働いた後のバイク事故

なかには仕事で疲れきった体で車やバイクに乗り、事故を起こしてしまったケースもありました。「過労事故死」です。

東京都の会社員・渡辺航太さん(当時24歳)は、2014年4月、徹夜で働いた後にバイクを運転して電柱にぶつかり、亡くなっています。

航太さんは、デパートなどの商業施設の植物装飾を手掛ける「グリーンディスプレイ」という会社で、2013年10月からアルバイトとして働き始めました。事故が起きたのは、横浜市内にある草花の倉庫兼事務所と都内の自宅とを結ぶルート上です。

航太さんの初出勤の翌月のタイムカードを見ると、クリスマス前の繁忙期ということもあって時間外労働がかなり長く、午後10時までに終わった日は6日だけ。退勤時刻が午前3時を過ぎた日が8日もありました。休みは5日間のみ。なかには退勤時間と出勤時間の間隔が、わずか3時間という日もあります。