まるで孤高のゴジラ!? 海上100mに屹立する「謎の奇岩」の正体

じつは東京都内です
中川 隆夫, ブルーバックス編集部

孀婦岩より南は水深が深い

「小笠原は古い地質なのでここでは省きますが、伊豆諸島の北のほうは島もあって海は浅い。それに対し、孀婦岩より南の海域は深いのです。このような水深の差がなぜ出てくるかというと、地殻の厚みがぜんぜん違うからなんです。

マントルの上に乗る地殻の厚みは、北が25〜30kmなのに対して、南は10kmくらいしかありません。それが結果的に、出てくるマグマの違いになる。できる場所の温度や圧力が影響をしていると考えられます」

日本に111ある活火山の場所を思い出してほしい。

東北地方の山並みに沿って南北に一列。九州地方でも南北に列をなす。そして、富士山から南に、伊豆小笠原諸島にもきれいに一列になった火山の列がある。

【図】伊豆小笠原島弧周辺の図
  伊豆小笠原島弧周辺の図(©産総研)

一般には「火山フロント」とよばれる、これらの列に共通するのは、プレートが沈み込む先に一列に並んでいるということだ。伊豆小笠原諸島は、東の太平洋プレートが、フィリピン海プレートの下に沈み込んだ先に並んでいる。これは、火山の成り立ちそのものを示している。

「沈み込んだ太平洋プレートが深さ90〜100kmくらいまでになると、プレート中の水分や溶けた岩などが吐き出されてきて、マグマの元になるのです。そのマグマが上昇すると火山の元となるマグマ溜まりができるので、プレート境界からある一定の距離をおいて、沈み込まれた側のプレートの上に火山ができやすくなります」

南北で海底地形が異なる理由

では、こうしてできる火山の列が、伊豆諸島の北と南ではなぜ異なるのか。

「ものすごく単純に言えば、火山の土台ができた年代の違いが原因です。孀婦岩より南のほうが新しいのです。小笠原諸島の横には、小笠原トラフという海の中の盆地(海盆)があります。ここは、海底が東西に開いてできたものではないかと考えています」

日本列島が大陸から分離していく過程で、日本海が形成されたような大地の動きと同じものでしょうか。

「はい、その小型版です。四国沖のフィリピン海でも、かつて同じことが起こりました。小笠原諸島の場合は、そうやって開いたために、地殻が薄くなっているのではないかと推測しています。推測しているだけで、まだ検証はできていませんが……」