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大人の発達障害、コミュニケーション問題はどう回避できるか

「視覚化」と「言わざる」がコツ

脳の働きがほかの多くの人と違う発達障害は、基本的には生来のものといいます。しかし、大人になってから、「もしかして自分は発達障害ではないか」と思い当たって、精神科を受診する人が増えているそうです。

大人で発達障害がある人は、子どもとはまた違った、複雑な問題を抱えていることが多く、本人の事態は深刻になっています。仕方がない、我慢するしかない、と済まされる問題ではありません。

大人の発達障害とはどういうものなのか? 生きづらさを改善するにはどうしたらよいのか? 職場などでたびたびトラブルになる、コミュニケーションの問題を中心に見てみたいと思います。

なぜ、大人になって「発達障害」が見つかるのか

発達障害には、自閉スペクトラム症、ADHD、LDなどがありますが、どのタイプでも、共通した条件のひとつに、学童期までの発達期に発症することが挙げられます。したがって、困難や問題は多少なりとも子ども時代からあります。

乳幼児期は、育児になじみにくい子どもに育っていくため、親の愛着が十分に形成されないという問題があります。自分と他人との関係が重要になってくる思春期は、友人との関係が築きにくく、孤立したり、いじめにあったりするケースがあります。

しかし、発達段階において、こうした問題が専門医療機関を受診したことで確認され、家庭でや学校で困難に適応していく力を育てていくこと(療育)ができていれば、自立した社会生活への道もひらけてきます。

それに対して、子どものころは何か問題が生じても発達障害によるものと気づかれず、社会に出てから本人が生きづらさを感じるようになることがあります。大人で診断される発達障害は、軽症のために子どものころに見過ごされていたケースが多いのです。

【写真】社会に出ると、職場でのトラブルで本人の評価が下がってしまう
  社会に出て、職場でのトラブルなどで発達障害であることがわかる場合がある photo by iStock

大人の発達障害は、軽症の自閉スペクトラム症が多い

大人になって生きづらさを感じたり、問題が生じて精神科を受診してくる人たちのなかには、「自分はアスペルガー障害ではないか」と心配する人がいますが、多くの場合、軽症の自閉スペクトラム症です。

自閉スペクトラム症は、精神科の現場でスタンダードな『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)』で挙げられている診断名です。従来の「アスペルガー症候群」と「自閉症」という2つの障害を含んでいます。長い間、この両者の違いについて議論が交わされてきましたが、程度の重さの違いで同じ症状の重症・軽症という差であり、この2つには境界線がない連続体(スペクトラム)という考え方に落ち着きました。

図】スペクトラムとは
  連続体(スペクトラム)とは

このうち、大人になってわかる発達障害の多くが、軽症の自閉スペクトラム症やADHDと診断されると言います。軽症ゆえに見過ごされ、原因も対処法もわからないまま社会に出て行かざるを得なかった人たちといえます。