3月までは「予定通り」。しかし4月以降は…?
今回は3月最後のコラムである。3月中には、今年度予算が成立する。今年10月には消費増税が行われることが既に法律で決まっており、それを実行する前提で今年度予算が組まれている。通常の役人の感覚からいえば、消費増税は「確定事項」である。根拠となる法律もあり、執行面での予算がついたら、後はやるしかないとなるだろう。
つまり、10月からの消費増税は、その資金使途やその対策は「歳出」として、またそれによる税収増は歳入として、今年度予算に組み込まれている。そのため、今年度予算が成立する3月いっぱいは、安倍総理を含めて政府関係者は「消費増税は予定通り行われる」としか言いようがない。今年度予算の成立が、安倍政権の最優先事項だからだ。
だから、今の段階で「消費増税は予定どおり行われるんですか」と問われれば、筆者も「予定通りやる」と答えるだろう。
しかし、4月以降は状況が変わる。
4月以降に、「消費増税の見送りの可能性はあるのか」と聞かれれば、筆者は「その可能性はないとはいえない」と答える。その理由は、安倍総理はこれまで「リーマンショック級のことがない限り消費増税を行う」と言ってきており、まだ消費増税の最終決断は下していない、と言えるからだ。
これまで、安倍政権において消費増税を2回スキップしている。一度目は、2014年12月の衆院解散・総選挙において。これは、2015年10月から予定されていた消費増税の実施の是非を世論に問うものだった。二度目は、2016年5月の伊勢志摩サミットにおいて。その時は、2017年4月から予定されていた消費増税は、リーマンショック級の経済変動が起こりうるからという理由で見送った。
二度あることは三度ある、なのか。それとも、三度目の正直なのか。
過去2回のケースはともに、法律としてはできていたが、予算成立の前であった。今回は、既に予算も成立しているので、前のニ回とはまったく違う。そのため「三度目の正直」も十分にありえると思う。
一方で、見送りの「大義名分」さえあれば、10月までに補正予算を出せば、消費増税を白紙に戻してもなんとかなる、ということも考えられる。テクニカルな話ではあるが、その際、消費増税分の歳出と歳入を同額減額するのではなく、歳出は基本的に変えずに、歳入で消費増税分を減額し、そのための財源を同額計上するほうが、混乱ははるかに少ない。
いずれにしても、見送るならばその「大義名分」が重要なのだが、いつまでに安倍総理が最終決断するかというと、常識的には5月20日のGDP速報公表までだろう。7月に参院選があり、その公約は6月上旬までに取りまとめる必要があるからだ。