米国経済はそれなりに底堅い。個人の消費に加え、設備投資もそれなりにしっかりしている。それを支える最も重要なファクターが金融政策だ。1月初旬、パウエルFRB(連邦準備理事会)議長が段階的な利上げに慎重な姿勢を示した。それが、金利低下とリスク資産の価格反発を支え、企業経営者や家計のマインド好転につながった。
3月のFOMC(連邦公開市場委員会)にて、FRBは、経済をより強力にサポートする姿勢をはっきりと示した。事実上、年内の利上げの可能性はなくなったといってよい。加えて、9月でFRBはバランスシートの圧縮を完全に停止する考えも示した。これは、米国の景気回復の持続性を想定以上に高める可能性がある。
底堅さを維持する米国経済
昨年末まで、米国経済は好調さを維持してきた。その状況は、多くの経済の専門家が想定していた以上だ。昨年の4~6月期、米国の実質GDP成長率は前期比年率ベースで4.2%だった。減税効果の剥落とともに米国経済は減速し、10~12月期の実質GDP成長率は同2.6%だった。これは市場参加者の予想(2.2%程度)を上回った。
年明け以降も、米国経済は底堅さを維持していると考えられる。昨年12月に大きく落ち込んだ製造業の新規受注動向は、今年に入り持ち直しの兆しを見せている。また、昨年12月、新発債が発行できないまでに市場が混乱した米国のジャンク債の価格は急反発した。これは、信用格付けが相対的に低い企業の経営が安定していることを示唆している。
低格付け債券などリスク資産の価格上昇は、「思っていたよりも米国の景気回復は長続きしそうだ」と考える投資家が増えていることの裏返しだ。投資家心理を支える最大の要因が、FRBの金融政策だ。年初のアップルショックを受け、パウエルFRB議長は、利上げを停止する可能性を仄めかした。これが、国際金融市場の参加者に大きな安心感を与えた。
一方、米欧の政治リスクなどを理由に、先行き懸念を強める投資家も増えている。
ただ、そうした状況のほうが株価などは上昇しやすい。なぜなら、目の前の価格上昇につられ、恐る恐る、リスク資産を買ってしまう投資家が増える余地があるからだ。明確なトレンドは出づらいだろうが、糸で引かれるかのように資産価格が上昇しやすい状況ができつつある。