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積水ハウスがいまだ公表しない「地面師事件報告書」その驚きの中身

事件はまだ終わっていない

あれから1年

積水ハウスが東京都内のマンション用地取引をめぐって、約55億円をだまし取られた「地面師グループ事件」。事件発覚から約一年が経過したこの3月、同社は最新決算を発表したが、その内容は業績悪化が鮮明なものだった。

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同社が発表した19年1月期決算を見ると、営業利益、経常利益、純利益のすべてにおいて減益。

事業別では戸建、賃貸、分譲、マンションの主要4事業が軒並み二桁の営業減益に見舞われ、国際事業にいたっては同45%減という暗澹たる結果であった。

一方、このように本業が厳しい環境にある中、同社の連結営業利益は前期比3.2%減と軽微の減益にとどまっているのだが、ここにはある明確な背景事情がある。

「じつは優良不動産を売り払っているんです」として、積水ハウスをウオッチするマーケット関係者は言う。

「積水ハウスは、保有していた高級ホテルのリッツ・カールトン京都の信託受託権の40%を、同社がスポンサーとなっているリート法人に178億円で売却しています。売却日は今年1月31日。期末ギリギリのタイミングでした」

 

それだけではない。

積水ハウスは昨年12月21日には、東京都心の大型物件も売却している。

総理官邸に隣接する一等地にあり、東京メトロの溜池山王駅に直結する国際赤坂ビルがそれ。このビルの積水ハウスと同社のSPC(特定目的会社)の共有持ち分50%が、日本生命に400億円超で売却された。

「こうした優良不動産の売却が奏功して、積水ハウスの『都市再開発事業』の営業利益は約404億円という好業績になりました。一方、期初には同事業の営業利益は180億円と見込まれていたので、優良不動産の売却は当初は予定されていなかったことがうかがえます。

言い方を換えれば、この不動産売却がなければ、積水ハウスの決算はより厳しい結果になっていた。これが積水ハウスの今期の利益を底上げしたことは間違いない」(前出・マーケット関係者)

別の積水ハウス関係者も言う。

「積水ハウスの最高経営責任者でカリスマ会長だった和田勇氏が退任し、現執行部体制が発足したのは昨年1月のことでした。その後、経営陣に対して株主などから地面師事件の責任追及が相次いだことから、経営陣は今決算を何とか無難に乗り切る必要があった。前期までは5期連続の増収増益。それが一転、大幅な減収減益になるのは避けたかったのでしょう。しかし優良不動産の売却は将来の利益の先食いでしかなく、現経営陣のやり方に一部の社員は不信の目を向けています」