1872年に観察された太陽黒点 Photo by Getty Images

「なぜ太陽周期は11年?」400年続く「謎」に千葉大学から王手!

ガリレオ以来誰も解けなかったが──!
カオス的なエネルギーの塊、太陽は、約11年周期で黒点の数が増減している。だが、その理由はいまだ明らかにされていない。この太陽物理学最古にして最大の謎に、新たな計算手法で「王手」をかけた研究者がいる。「400年の謎」の正体とは──!
(聞き手:池谷瑠絵 特記外の写真:河野俊之 「サイエンスリポート」より転載)

1610年、ガリレオが自ら作った望遠鏡で黒点の観察を始めて以来、少なくとも400余年にわたって人類は太陽を観察してきたが、これらのデータからわかるのは、「太陽の変動には明らかにパターンがある」ということだ。

ガリレオ自身も、自らが記した克明な黒点の記録から太陽の自転運動を推論したが、およそ27日で一回転する自転のほかに、太陽活動が活発と不活発を繰り返す、約11年の周期が知られている。

太陽緯度を縦軸に、時間を横軸にとって黒点の出現をグラフに表すと、約11年ごとに、ちょうど蝶のような形をしたパターンがくっきりと現れるのである。なぜ11年なのか?

明らかな規則性があるにもかかわらず、そのメカニズムは今も明らかになっていないのだ──。

堀田英之取材に応じてくれた堀田英之特任助教。千葉大学西千葉キャンパスにある大学院理学研究院宇宙物理学研究室にて撮影

黒点では何が起こっているのか

太陽の表面には、その活動が活発な時、黒点がたくさん現れる。

黒点は必ずS極・N極の2つひと組で出現し、太陽から発せられる光を観測することによって、黒点が強い磁場を形成しているのを確かめることができる。

「太陽は中心部で核融合が起こり、そこからエネルギーを放っています」というのは、千葉大学の堀田英之特任助教だ。

生成されたエネルギーは、輻射による熱輸送によって、太陽の中心から太陽半径の20〜70%にある放射層の中を約20万年もかけて運ばれ、ついにその外側を覆う対流層へ到達する。

「対流層は盛んに熱対流が起こり、ボコボコ湧いているような状態です。このうち磁場が強いために熱対流の流れが止められ、冷たくなっている部分が黒点です」

黒点は太陽活動が盛んな領域なのに、温度が低く、暗く見えるのはこのためだ。

黒点のS極とN極は、磁力線によって結ばれており、その大きな磁気エネルギーが熱エネルギーや運動エネルギーに変換されると、爆発の炎を噴き上げるような「フレア」が放たれる。太陽フレアは、大規模な場合、水素爆弾1億個ぶんにも相当する爆発現象であり、これが地球に到達し、オーロラを発生させる原因にもなっている。

また、太陽も地球の南極・北極にあたる極磁場を持ち、地球や他の多くの天体と同じように自転によってダイナモ(発電装置)を構成しているが、太陽では11年周期でこのS極とN極が反転する。

「しかしなぜ11年周期なのか、その過程はまだ分かっていません。太陽物理学最古で最大の問題と言えるでしょう」

太陽の内部

太陽の中身を計算で再現する

そもそも太陽は水素とヘリウムでできており、対流層では、それらの陽子と電子がバラバラになった「プラズマ」と呼ばれる気体の状態になっている。巨大な磁場のエネルギーが開放されて熱エネルギーや運動エネルギーになったり、その逆の過程もあるという。

「結果としてすごくカオス的な状況なのですが、最終的にはかなり規則正しい約11年周期を実現しています。ということは、この乱流をきちんと理解すれば、11年周期が理解できるはず」と堀田特任助教は言う。