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中国の年金の将来は日本よりよっぽど悲惨だ

「中国の夢」は夢のまた夢か

甘い見通し

中国政府「国家統計局」は2019年2月28日付で「2018年国民経済・社会発展統計公報」(以下「2018年公報」)発表した。

それによれば、2018年12月末時点における中国の総人口は13億9538万人で、その男女比は男性が7億1351万人に対して女性は6億8187万人で、その比率は51.1:48.9であった。

国際的に見て、男女比率は寿命が男性より長い女性の方が高いのが一般だが、中国では1980年代初頭から2015年末まで35年近く続いた1組の夫婦に子供を1人に限定する“独生子女政策(1人っ子政策)”の影響で、跡取りと労働力として男子の出産が優先されたため、男女比率が不均衡になっている。

それはさておき、2018年公報で注目を浴びたのは、人口の年齢別構成であった。

すなわち、年齢別構成は、0~15歳:2億4860万人(17.8%)、16~59歳:8億9729万人(64.3%)、60歳以上:2億4949万人(17.9%)であり、そのうち65歳以上:1億6658万人(11.9%)であったが、60歳以上の人口が15歳以下の人口を上回ったのは1949年10月1日の中華人民共和国成立以来69年の歴史上で初のことだった。

中国では1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示す「合計特殊出生率(TRF: total fertility rate)」が2010年頃から急激に低下した。世界平均が2.5前後であるのに対して、2010年:1.181、2011年:1.040といった数値を示したことで、出生人口の減少が大きな社会問題として議論されることになった。

その結果、2014年からは1組の夫婦の一方が1人っ子であることを条件に2人目の子供を容認する“単独二孩政策”が各一級行政区(省・自治区・直轄市)の裁量で実施された。

しかし、TRFは改善の兆しを見せなかった。2015年12月27日に全国人民代表大会常務委員会が「人口・計画出産法」修正案を可決したことで、長年にわたり国民を苦しめて来た1人っ子政策は廃止となり、2016年1月1日から1組の夫婦に子供を2人まで容認する“全面二孩政策(2人っ子政策)”が実施された。

中国政府は、この2人っ子政策によって出生人口が飛躍的に増大するものと楽観視していた。だが、2016年の出生人口は1786万人と前年比131万人の増大を示したものの、その効果はわずか1年間しか持続せず、翌年の2017年の出生人口は1723万人と前年比で63万人減少した。

さらに、その翌年の2018年の出生人口は前年比200万人減の1523万人となり、2017年と18年の2年連続で出生人口は減少したのである。

これは若い夫婦が経済的な理由で子供の出生を抑制していることが最大要因だが、男性の精子数の減少により数千万人が不妊治療を受けていることも要因の1つだと言われている。

2年連続での出生人口の減少は15歳以下人口を減少させ、2018年末時点では60歳以上人口が15歳以下人口を上回ったことに反映されたのである。

 

中国人口の歴史的転換点

2018年公報の人口データによれば、2018年の出生人口は1523万人、死亡人口は993万人で、差し引きは530万人の増加であった。

しかし、米国ウィスコンシン州立大学の客員教授で中国人口学者の易富賢(いふけん)は、国家統計局の数字に疑問を呈し、次のように述べた。

「中国政府が発表した出生数字には500万人程の水増しが存在する一方で、死亡人口は100万人程少ない鯖読みが行われていると考えられる。従い、2018年の正しい数字は、出生人口が1030万人、死亡人口が1100万人超で、差し引きは約100万人の減少であったはずである」。

易富賢は、「中国における婦女の初婚年齢と初産年齢の遅れ、結婚率の低下、離婚率の上昇などの間接的な証拠を含めた社会発展の趨勢を詳細に分析すると、2018年における中国のTRFは1.05前後であり、中国の平均寿命を76歳前後と想定して分析すれば、死亡人口は1100万人以上になる」と述べた。

また「2018年は中国人口の歴史的な転換点であり、今後人口は絶え間なく減少し、人口構造は絶え間なく高齢化し、経済と社会の活力は途切れることなく弱体化するだろう」と予測している。

易富賢の説が正しいとすれば、上述した60歳以上人口が15歳以下人口を上回ったという中華人民共和国成立から69年の歴史上で初の事態は、正に歴史的な転換点と言えるのかもしれない。