NYのブルックリンにアトリエを構え、個展も開いて活躍をしているアーティストの宮川剛さん。2012年5月、NYでのアートウィークにゲリラ展示をしていたところをテロリストと間違えられて逮捕されてしまった。法外な2500万円という保釈金を提示されるも、友人たちの活動で現金が集まった。しかし裁判の結果は有罪……不当逮捕のはずが、NYでも凶悪犯が収容されることで有名なライカーズ島の刑務所に入ることとなってしまった。

2019年3月にNYで起きた「ライカーズ島をいまクローズして!」という運動。それくらい「ライカーズ」という島は「刑務所」をイコールの存在なのだ Photo by Getty Images

(インタビュー・文/佐久間裕美子)

前編「NY在住日本人アーティストが不当逮捕から刑務所に入れられるまで」はこちら

全身タトゥーの人たちに囲まれ

――幸運なことに、僕はその時ライカーズ島がどんなに恐ろしいところが知りませんでした。ライカーズ島のビルの中にバスで入り、軽犯罪の人はどんどん先に降りていきます。僕は重要容疑者扱いだから降ろしてもらえない。終点で降りたのは、僕を含めてたったの5人でした。全身にタトゥーをしているような強面の人たちばかりです。

到着後は全身のレントゲンを撮影して肛門、口の中すべてチェックされます。全身の臓器のレントゲン撮影を受けるなんて珍しい体験で、「カメラを持っていれば良かったな」なんてふと思いました。

受刑者達に同情される

刑務所内で他の受刑者達にどんな罪を犯したのか聞かれ「アート作品を展示したら爆弾だと思われて逮捕された」と話すと、「何も悪いことをしていないじゃないか!」と口々に同情してくれました。

拘留中は、健康診断を受診して伝染病などを持っていないと判断されるまで、ベッドのある部屋に入れません。その時着ていたのは、薄手のシャツ一枚。映画で見るような囚人のジャンプスーツがあるといいなと思ったのですが、それはもらえませんでした。

映画で良く見るのはこういうジャンプスーツだが、支給されず寒かったという Photo by iStock

だからコンクリートの床では寒くて30分ごとに目が覚めてしまう。ふと夜中に気がつくと、刑務所の部屋の真ん中で、1ドル紙幣を丸めて、コカインを吸っているやつがいるんです。マリファナを吸っている人もいました。彼らが看守に見つかった時、起きていた僕も同罪だと思われ、別室に連れて行かれて検査されました。

自分が無罪でも、「2~3週間ここにいたら、何かの犯罪に巻き込まれてしまう」と思いましたね。サイレンが鳴って、スワットチームが呼ばれて、喧嘩を止めているようなこともありました。

健康診断に続いて精神鑑定を受けました。精神科医に何をしたのか聞かれ、僕が載ったデイリーニュース紙の記事を見せました。刑務所内で紙は所持してもいいんです。医師は「ワーオ!これはすごい。コピーしてもいい?」と言い、記事をコピー。「グッドラック!」と言われ、鑑定はすぐ終わりました。

翌日、やっとベッドのある部屋に移ることができました。毛布はなかったけど、薄いシーツに包まってようやくぐっすり寝られたのです。