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フランスの「街並み」が、日本とここまで違う意外なワケ

なぜベランダは3階と5階なのか
横川 由理 プロフィール

マクドナルドは白い文字

パリでアパルトマンを購入する場合には、建物だけを購入します。

〔photo〕iStock

一方、日本でマンションを購入する場合は、建物と土地の両方の代金を支払うことになります。でもパリの土地はパリ市の所有物。つまり、土地を購入することはできず、建物を壊して自分好みに建て直すことは、いくらお金があっても不可能です。パリの旧建築での生活には、少しばかり不自由さも隣り合わせだといえるでしょう。

「アパルトマン」という言葉には、なにか特別で素敵な住まいというイメージが思い浮かびますが、実は英語のアパートメントをフランス式に発音したもの。フランス語だと、おしゃれに感じてしまうのは不思議なものですね。

パリでは素敵な街並みの雰囲気を維持するために、たくさんの取り決めがあります。たとえば凱旋門からつながるシャンゼリゼ通りでは、派手な色の看板を掲げることはできません。マクドナルドの看板は通常、赤や黄色ですが、シャンゼリゼでは白い文字を使用します。

〔photo〕gettyimages

日本でも京都では景観を維持するために、ほかの地域とは違う取り決めが設けられていますね(京都のマクドナルドの看板は、白や茶色だと聞いたことがあります)。

このようにパリや京都などの観光都市では、世界遺産を含む数多くの歴史的な建物と風情ある街並みとを融合させることで、世界中の人に観光に訪れていただけるよう工夫をしているわけです。

では、建築後200年以上も経っている建物の住み心地はどうでしょう。建て替えは行わないのでしょうか。

パリに滞在中、驚きの光景を目にしたことがあります。それは、古い建物を取り壊していたのですが、なんと、通りに面している外壁が1枚だけ取り残されていたのです。

もちろん、壁一枚では不安定ですから、電信柱よりももっと太い木で前後からつっかえ棒で支えられている姿でした。窓ガラスやドアはすべて外され、代わりに木枠が入っています。さすがにこの光景にはフランス人もビックリ。

大勢の人が工事の様子を見物していたことを覚えています。このような方法で建て替えを行うことは滅多にないとは思いますが、パリというブランドを維持するのも大変な努力が必要なわけです。

 

もちろん、パリには日本のマンションのような新建築もあります。

しかし、そこは観光客が滅多に行かないところ。パリ市は全部で20の行政区に分けられています。名前も付けられていますが、日本のように区の名前で呼ぶのではなく、1区から20区まで数字で呼ばれています。パリの中心が1区。そして時計回りに外側に向かって20区まで数えていきます。20区中、13の区が景勝地区として、景観的な配慮が特に必要な地区に指定されています。