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今夏、安倍首相が「衆参ダブル選」に踏み切ると見るこれだけの理由

北方領土、消費税、そして大阪

北方領土「2島返還+アルファ」の是非

安倍晋三政権は7月、衆院と参院のダブル選挙に踏み切るだろうか。ロシアとの北方領土交渉や10月の消費税引き上げ、さらには4月の統一地方選など、重要案件が山積する中、私は「ダブル選の可能性はある」とみる。

参院選は公職選挙法の規定で、国会の会期延長がなければ、7月21日に投開票の見通しだ。国会は6月26日に閉幕するが、直後の28、29日に大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議の大イベントを控えているため、会期延長の可能性はまずない。

それを前提に、衆院解散・総選挙をめぐる安倍首相の判断に影響を与えそうな要素を考えてみる。まず、ロシアとの北方領土問題だ。

 

ロシアのプーチン大統領は6月のG20に合わせて来日し、安倍首相との首脳会談に臨む。昨年末ごろは、この会談で「両国が平和条約の締結に大筋合意し、1956年の日ソ共同宣言に基づいて歯舞群島と色丹島の返還に道筋をつける」という期待があった。

ところが、1月の日ロ首脳会談などを経て、そんな期待は急速にしぼんでいる。ロシア紙は最近、プーチン氏が経済人との非公開会合で、平和条約交渉について「テンポが失われた。日本が日米同盟を解消する必要がある」などと語った、と報じた。

日米安全保障条約は第6条で「米軍が日本で施設及び区域を使用する」ことを認めている。この条約によって、プーチン氏は北方領土を返還した場合「そこに米軍基地ができるのではないか」と懸念しているのだ。

ロシア紙によれば、プーチン氏は「安倍首相は島が返還されても基地は置かないと言ったが、その保証はない」と述べた、という。プーチン氏は昨年末の記者会見でも「日本の決定権に疑問がある」と語っていた。懸念は相当、強そうだ。

ただ、北方領土への米軍基地設置問題は突然、出てきた話ではない。最初から「最大のハードル」と分かっていた。プーチン氏の心配は当然だが、交渉の駆け引きという側面もある(1月25日公開コラム、https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59551)。

いずれにせよ、もしも平和条約締結と北方領土問題で大きな進展があれば、それがダブル選への決断を後押しするのは間違いない。なぜなら、安倍首相が想定しているのは、あくまで「2島返還+アルファ」であって、4島返還ではないからだ。

日本国内では、共産党から自民党、保守派の一部にも4島返還を求める声が強い。そんな中で、安倍首相が2島返還を目指すなら「それでいいかどうか、国民の声を聴く」のは当然だ。つまり、2島返還の是非をめぐって衆院を解散するだろう。

逆に、進展がない可能性もある。だが、その場合でも安倍首相とプーチン氏は交渉を継続するだろう。日本の交渉方針をめぐって、解散に打って出る可能性はある。北方領土問題はそれくらい、大きな政治テーマである。

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