「おまえは絶対に刑務所行きだ」

午後2時まで待たされた後に向かったのは、ダウンタウンブルックリンの刑事裁判所だった。ここで判決を受け、釈放されるか刑務所行きかが決まる。

――パトカーの後部座席は身動きできないんです。おまけに交通渋滞で1時間もかかって身体が痛くなりました。裁判所は深夜まで開廷していますが、その日のうちに僕の番は来ず、拘置所のコンクリートの床で、寒い一晩を過ごす羽目になりました。部屋は人でぎっしり。わずかに寝るスペースを見つけて横になりました。ところが一度トイレに立ったときにそのスペースを取られてしまい、唯一空いていた便器の真下の床に頭をつけて寝ました。翌朝、その便器に小便したい人に蹴られて起こされました。

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やがて名前を呼ばれて別室に行くと、FBIの捜査官がいました。「これがどんなに重大なことだがわかるか!お前は絶対に刑務所に行くから」と言われてショックを受けました。刑務所行きという意味は、無罪放免にならないということ。前科もつくから、グリーンカードを剥奪されて、国外追放になってしまう。

この時は、「日本に帰ることになったら東北で再建を手伝おう」とぼんやり考えていました。仮設住宅の建築を手伝い、支援活動に参加しようと。

国選弁護人としてデボラ・ブラムという人が面会に来てくれました。「あなたにはたくさんの素敵な友達がいますね」と言って、僕の事件が載ったニューヨーク・ポストを持ってきてくれました。自分の写真が大きく載っていました。

新聞の半分を占めているのが宮川さんの記事。宮川さんが素晴らしい人だという恩師の証言も掲載されている

「30日間の拘留と精神鑑定」

問題は「爆弾事件」として扱われたために連邦政府の管轄になったことだった。軽犯罪であれば州警察の管轄だが、麻薬や爆発物など特定の重要犯罪ゆえ「連邦政府の案件」だと確定されたのだ。

――重要犯罪として、保釈金はなんと2500万円に設定されました。しかも現金で支払わなければならない。絶望的な気持ちになっていると、長年お世話になっていたギャラリー「Salon 94」のオーナー、ジーニー・グリーンバーグ・ロハティンが、恩師のヴィニオリに電話してくれました。そこで彼は「俺が払う」と言ってくれたそうです。 みんなには迷惑をかけて申し訳なかったけれど、ありがたかった 。

裁判所に入廷すると、ルイスやパブロをはじめ多くの友達が来てくれていました。傍聴席に人が多いほど注目の事件とみなされ、裁判は有利になるそうです。しかし判決は「30日間の拘留と精神鑑定」でした。保釈金を受け取ってもらえないということです。そして「危険人物」というレッテルを貼られてしまった。デボラは「上告する」と言ってくれましたが、失意のまま、別室に連行されたのです。

友人たちの努力もむなしく、「テロリスト」の汚名を着せられたまま保釈金受け取り拒否され、拘留を免れなくなってしまった宮川さん。ライカーズ島の凶悪犯用刑務所での詳細は、続編「不当逮捕された日本人アーティストがNY凶悪犯刑務所で出会った善人をご覧ください。記事はこちら