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大腸がん「ステージ4」宣告から生還した患者とその主治医の全告白

命を救ったトップドクターの決断
木野 活明 プロフィール

すぐに手術をしないと手遅れ

年末もお酒は飲んでいたというが、正月三が日に恒例のお屠蘇が飲めなかったことで家族が心配し、病院に行くことを奨められた。

自宅近くのクリニックの医師の問診で、好きな酒が飲めなくなったこと、飲むとすぐに顔が紅くなることを話すと、医師は「胃に問題がありそうですね」と、腸の異常は全く疑わず、胃の検査のためバリュームを飲んだ。しかし、むろん胃には異常はなく消化剤を処方されただけだった。

正月明けの会社の新年会でも好きなビールが飲めず、社長に調子が良くないことを話すと、社長が通う神田のクリニックを紹介された。

クリニックでも胃の検査で胃カメラを飲むが異常は見つからず、それでも体調がおかしいという森山さんの訴えで、念のためにと大腸の検査をすることになった。大腸内視鏡検査だ。

肛門から内視鏡を挿入し、直腸から結腸までの大腸の状態を診断する検査である。診断結果はすぐに出た。医師はやや青ざめた顔で森山さんにこう告げた。

「大腸ががんで詰まり、肝臓にも転移している。がんができてすでに4年ぐらいは経っているようです。すぐに手術をしなければ手遅れになります」(クリニック医師)

 

2017年にがんで死亡した人は37万3334人(男性22万398人、女性15万2936人)と、ほぼ3人に1人ががんで死亡していることになる。

部位別では肺がんに続いて大腸がんはワースト2位で5万681人(厚生労働省人口動態統計)。女性の大腸がんの死亡者は2003年以降部位別死亡者数でワーストワンとなり、2017年には2万3347人とワーストワンが続いているのだ。

「大腸がんの罹患者が急増していますが、とくに40代の女性に爆発的に増えてきています。若いだけにがんの進行も早い。食生活の欧米化で高カロリー食を取ることが急増している原因といわれています」(川本医師)

〔photo〕iStock

大腸がんステージⅣの「5年生存率」は約20%

大腸がんは大腸の内側の最も表面にある粘膜から発生し、徐々に腸管の内部へと進行していく。大腸は右下腹部の盲腸から、上行結腸、横行結構、S字結腸、直腸へ続き、直腸は肛門にへとつながる消化管で、長さは2メートル前後ある。

大腸がんのなかでも日本人に多いのがS字結腸がんと、森山さんが罹患した直腸がんで大腸がん全体の7割を占める。

大腸の壁(腸管)は内側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜から成り、大腸の壁に進行して粘膜下層でとどまるがんを早期大腸がん。さらに筋層まで広がりリンパ節や肝臓、肺など遠隔転移したがんを転移性進行大腸がんと呼ぶ。

大腸がんのステージ(病期)は次のように分けられる。

ステージ0期 がんが粘膜内にとどまる。
ステージⅠ期 がんが内側の筋層(固有筋層)にとどまる。リンパ節への転移はない。
ステージⅡ期 がんが固有筋層を超えて周囲に広がっている状態。
ステージⅢ期 リンパ節に転移がある。
ステージⅣ期 肝臓や肺、腹膜など離れた臓器に転移している。

大腸がんの5年生存率はステージⅠ期で97・6%、Ⅱ期90%、Ⅲ期84・2%だが、Ⅳ期となると20・2%に下がる(全国がんセンター協議会公表)。

大腸がんの治療は内視鏡治療、手術、化学療法、放射線治療があるが、がんの進行度や全身状態、年齢などを考慮して判断する。早期大腸がんの場合は内視鏡治療で完治するケースが多く、一般的にステージⅢまでは開腹による外科手術か腹腔鏡下手術による治療となる。

手術で切除できない場合は化学療法になるケースがほとんどだが、杏雲堂消化器外科では大腸がんが遠隔転移したステージⅣの転移性大腸がんも腹腔鏡下手術で行っている。