東京都下の某タワーマンションを襲った「手抜き工事」の悲劇

それでもマンションを買いますか
榊 淳司 プロフィール

ほとんどの人は「泣き寝入り」

傍で見ていても、なんとも噴飯ものの話である。じつはまだ続きがある。

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2017年、わりあい強い台風が東京を通過した。ただ、死者が出るほどの被害ではなかったかと記憶している。そのとき、私が見ていたSNSに「○○駅前で、ビルからタイルが崩落」というようなタイトルで動画が流れてきた。そのビルの2階と3階のあいだの外壁に張られていたタイルがほぼすべて、バラバラと歩道へと崩落していたのだ。

幸いにして、けが人などは出なかった。先に何枚かタイルが剥落していたので、その歩道部分は立ち入り禁止になっていたという。仮に立ち入り禁止でなかったら、死者が出た可能性さえある。

そのビルとは、ほかでもない例のツインタワーである。駅に近いので、3階部分までは商業施設が入っていたのだ。

その時点で、たしか築6年であった。築6年で外壁タイルがバラバラと崩落するなど、普通では考えられない。明らかに施工不良である。しかし、決定的な証拠でもないかぎり、法的な責任は問えないのだろう。その事故が、その後どう処理されたのかはわからない。

そのツインタワーを施工したゼネコンは、何年か前に発覚した「杭が支持基盤に達してなかった」という横浜の大規模マンションを施工した会社と同一である。

 

そのツインタワーが施工不良の物件であることは、不動産業界では、ある程度周知されている。しかし、一般にはほとんど知られていない。報道されないからだ。

2015年10月、横浜市都筑区のマンションで、建物を支える支持杭が建築基準法で定められた強固な地盤に達していないことが発覚した。杭の工事を請け負った会社が、杭打ち工事の一部作業データを偽装していたのだ。

入居後数年で、4棟のうち1棟で傾きが発生。「別棟への渡り廊下の手すりがずれている」という住人の訴えで調査が行われ、建物片側の手すりが2.4センチ、床面が1.5センチ低くなっていたことがわかった。傾いた棟にある計52本の杭のうち28本を調べたところ、支持基盤に達していない杭が6本あり、長さ不足の杭が2本あることが判明。

管理組合と元の売主が協議を続けた結果、すべての住棟を売主費用で建て替えることが決定。仮住まいや引っ越し費用なども売主負担となった。

この事件は、連日のようにワイドショーを騒がせたが、ああいうケースはかなり稀だと言っていい。大部分の施工不良は、例のツインタワーのように、管理組合が泣く泣く自腹を切って補修を続けている。なぜか?

施工不良であることを世間に知られてしまうと、そのマンションの資産価値が下がるからである。区分所有者にとって、それがもっとも困ることなのだ。