東京都下の某タワーマンションを襲った「手抜き工事」の悲劇

それでもマンションを買いますか
榊 淳司 プロフィール

「築1年」で地震の被害に

鉄筋コンクリート造のマンションが、何年でどれくらい老朽化するのか、決まった法則性はない。これはどんなコンクリートを使い、どのように工事をしたかという施工精度が大きくかかわってくるからだ。

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しかし、施工精度というものは、外からの目視ではまったくわからない。華やかなタワーマンションでも、じつは手抜き工事まがいの施工がおこなわれていたりする。

典型的なケースをご紹介しよう。

東京都下でもかなり人気の高い駅から徒歩3分の場所に、きらびやかなツインタワーが完成したのは2010年の初春だった。新築時の広告コピーは、例の如く「武蔵野を見下ろす暮らし」みたいな感じだったと記憶している。

武蔵野は見下ろして楽しいものではなく、国木田独歩のように逍遥するものかと思っていたので、かなりの違和感が残る広告だった。もっとも、今の武蔵野エリアには逍遥するほどの場所はほとんど残っていない。

建物が完成したその翌年の3月11日に、東日本大震災が起きた。

そして建物内部の共用施設がかなり損傷した。まだ新築1年である。区分所有者たちは、当然の如く怒りをたぎらせる。

 

「これは売り主の責任だ。売り主責任で補修せよ」

そういう要求が出てきても当然だ。売り主はそれを受けて、施工会社に、「お前のところで補修費を負担せよ」と要求する。その流れで、施工会社は被害状況の調査にやってきた。彼らは損傷箇所をチェックした。そして……。

「これらはすべて地震によるものであり、当社の責任ではありません」

そう言うと、後日、1億数千万円の補修工事見積書を管理組合に提出した。

近隣のマンションは、築10年でも築30年でも、さほどの損傷は出ていなかった。なぜに築1年のこのツインタワーが、これほどの損傷を受けたのか。区分所有者たちは納得できない。しかし、施工したゼネコンの欠陥工事を証明することもできない。

最終的には1戸につき、約30万円から50万円の一時金を徴収することで、その施工業者に補修工事を依頼せざるを得なかった。