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東京都下の某タワーマンションを襲った「手抜き工事」の悲劇

それでもマンションを買いますか
「終の棲家」であるはずのマンション。しかし、このままでは数十年後、多くのマンションが「廃墟化」するという。どうすればマンションが「粗大ゴミ」になるのを食い止められるのか? 『すべてのマンションは廃墟になる』の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、私たちが想像している以上に「欠陥マンション」は存在すると指摘する。しかも、そのほとんどが「泣き寝入り」だそう。その知られざる実態について、榊氏が語る。

鉄筋コンクリートの耐久年数は

多くの人は、マンションを多少なりとも華やかな存在だと考えている。新築マンションの派手な広告に接する機会が多いからかもしれない。

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しかし、マンションとは、しょせんは鉄筋コンクリートで作られた構造体にすぎない。そして、鉄筋コンクリート造の建物はかなり頑丈だ。1981年の建築基準法改正以降に、建築確認を取って建てられた新耐震基準のマンションは、大きな地震でも致命的な被害を受けた例がほぼない。

それほどに頑丈な鉄筋コンクリート造のマンションでも、老朽化は避けられない。その耐用年数は100年とも200年とも言われるが、実際のところは、よくわからない。というのは、人類は今まで100年以上の使用に耐えた鉄筋コンクリート造の集合住宅を、ほぼ知らないからだ。

過去には、約80年の使用に耐えた同潤会アパートという集合住宅があった。しかし、それもすべて建て直しになってしまった。日本でもっとも古い分譲マンションであった四ツ谷コーポラス(1956年築)も、建て替えられている。

 

フランスのパリでは、築200年のアパートが今も現役であったり、イタリアではローマ時代の集合住宅が現在も使われていたりするという。しかし、そういったものはすべて石造りだ。鉄筋コンクリート造ではない。

鉄筋コンクリート造では、鉄筋の回りをコンクリートで固めて強度を持たせている。ただ、鉄は必ず錆びる。錆びると体積を膨張させる。そして、回りのコンクリートを破裂させる。鉄筋を錆びさせないために、コンクリートにひびが入ると、こまめに補修しなければならない。

しかし、そうしたところでいずれ鉄筋コンクリートには必ずや寿命が来る。施工精度が悪ければ数十年。こまめに補修しても200年もつだろうか。

すべてのマンションは、いずれ寿命が尽きてしまうのだ。つまり、マンションが華やかであるのは、新築販売時に巨額の宣伝費をかけて広告をしているあいだと、新居に引っ越してきて、喜びを隠せない人々が気分を高ぶらせている最初の数年だけ。あとは、何十年にもわたって老朽化と戦い続けなければならないのだ。