2019.04.01
# ビジネススキル # スポーツ

野村克也氏が「野球は考えるスポーツ」だと断言するワケ

ひらめきは突然生まれない
野村 克也 プロフィール

「○○とは?」と問い続ける

自分の読みを的中させるには、毎日の対戦結果のメモを取り、ノートにまとめ、データを蓄積し、それを分析していく。さらに投手の配球を考えるのと同時に投手のクセも読み、「次の1球はこれだ」と狙いを定める。

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このような地道な努力を続けなければ、私のような不器用な打者がバットの芯でしっかりとボールを捉え、それをヒット、あるいは長打にすることなどできなかったし、三冠王を取ることもなかっただろう。

言い換えれば、現代で三冠王を取るには、人一倍の努力と準備という肉体的なものだけでなく、精神的(頭脳的)なものも必要だということだ。

果たして、今後三冠王を取るような選手が出てくるのか。その一番近い場所にいるのは「考えることのできる長距離砲」だと言っておこう。

野球というスポーツを考えてするようになってからというもの、私は何かにつけて「~とは?」と考えてしまうクセがついた。野球の本質を考えれば「野球とは?」を考えざるを得ず、それを突き詰めて考えていくと「攻撃とは?」「守備とは?」「打者とは?」「投手とは?」とどんどん細分化されていく。

 

私はそれらをメモしながら、時に俯瞰して「野球」というものを捉え直す。すると、自分にとっての「野球哲学」が、おぼろげに見えてくるのだ。ちなみに私が「野球とは?」と問われれば、「考えるスポーツです」と答えるだろう。

「~とは?」と考えることは、この社会で働く人たちすべてにとても大切なことだと思う。「経済とは?」「会社とは?」「営業とは?」「交渉とは?」など、自分の仕事に関して細かく突き詰めていけば、業績を上げるための方向性が自ずと定まり、それがあなた自身の仕事の哲学、あるいは経営哲学になっていくのだ。

球技の中で野球ほど「考える間」があるスポーツはない。サッカー、バスケット、バレーにテニスに卓球と球技はたくさんあるが、一度ボールが動き始めたら「攻め」と「受け」の応酬となり、「次はどうしようか」などとゆっくり考えている暇はない。

ところが、野球はボールが動いている時間よりもそれ以外の時間のほうが長い。1球ごと、1打席ごと、イニングごとに「間」がある。技術や体力といったものには人それぞれに限界があるが、「考える」という行為には限界はない。野球のゲーム中に存在する、それこそ有り余るほどの「間」を「考える」ことに使わない手はない。

職業は違えど、どんな仕事でも「考える」ことのできる「間」は、いかに忙しい状態であれ必ず存在するはずである。その「間」をいかに上手に使うか。結果を出したい、業績を上げたい、そう考えているなら「間」の上手な使い方を考えてみてほしい。

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