3人目:逆に奢ろうとしてくるフツーのM大生

派手でも地味でもないフツーのM大生C君(22歳)は、いつ連絡しても即レスだったので努力賞をあげる気持ちで選んだ。鍋が食べたいというので高級しゃぶしゃぶ店で一番高いコース一人8000円を予約。

接待で使うようなのような落ち着いた個室で高級しゃぶしゃぶ

だが、奮発したのに思ったより反応が悪く、しかもいままでの二人と違って話も盛り上がらない。なんなんだこの時間は、と何度も我に返ったが、笑顔で会計する。
 
店を出ると意外なことを言われた。「今度奢りますよ」と不器用な口調で提案してくれたのだ。

ママ活って、40代くらいの結婚してお金に余裕のある人がやると思ってたんですけど……

つまり、ママ活をやるには私の貫禄が足りなかったみたいだ。気を遣ってお金を出そうとする男子もいるなんて、これが男女が逆のパパ活ならまずありえないだろう。

男女の「奢る」「奢られる」の複雑さ

パパ活・ママ活という特殊な体験を通して、さまざまな発見があった。

29歳の女性は、パパ活市場においては10や20も上の男性たちから「お前は若くない」と相手にされず、ママ活市場では10も違わない年下の男性たちから容赦なくタカられる。特に「女を売る」パパ活市場での予想以上の無力感は、アラサーとはいえ、まだ20代の筆者にとっては少しこたえた。その傾向がそのまま今の恋愛市場にも反映されているように思えるからだ。

そして今回、自分の中にもある発見があった。私はママ活で男性に奢った時、不思議な爽快感があった。その爽快感の正体がいったいなんなのか、最初はわからなかったけれど、C君に「今度奢りますよ」と言われて違和感を覚えたことで、はたと気づいた。私は「女だから奢られる」ということに、どこか後ろめたさを感じていたのだ。

力の強いものが弱いものに施しを与える、という意味で、奢るという行為はある種のマウンティングであり、時に、相手に食事以外の何か(食後ホテルに行くなど)を期待していることを示す行為でもあるけれど、単純に「礼儀」として女性に奢ろうとする男性も少なくない。誰が考えたのかわからない礼儀のために奢られるたびに、なんだか申し訳ない思いがしていた。

ママ活でお金を払う時、そんな“理不尽”が正されたような心地がしたのだ。男女がフェアに価値を交換する。パパ活とママ活には、ある種の清々しさがあった。

奢ること一つをとっても、さまざまな思惑や文脈が複雑に絡んでいる恋愛市場。互いが求めるものを交換するシンプルな関係のほうを楽に感じ、パパ活から恋愛の糸口を探ろうとしたシゲさんの気持ちはわからないでもない。