「真剣な出会い」をパパ活で探す理由

「いまは彼氏はいるんだっけ?」

「いまはいないです」

いまはいないんだ、とシゲさんは確認するように復唱した。

つまりシゲさんはパパ活で真剣な出会いを探していたのだ。だからこの年齢でも会ってもらえたのか。予想外のピュアなモチベーションに、私はどう応えたらいいかわからず、戸惑う気持ちを顔に出さないよう取り繕った。

「でも、それなら普通の婚活アプリのほうがいいんじゃないですか?」

「いやいや、婚活アプリは条件で見る女性が多いから。一回やってみたけどうまくいかないなと思って。『どんなお仕事なんですか?』『年収はどれくらいですか?』『どんな資産があるんですか?』って聞かれちゃう。それで一緒にいてくれる女の子はそこしか見ていない」

いっそのこと、パパ活で割り切った関係から始まる純愛を求めているのだという。それもそれで難しい気がするが……。

2軒目のバーへ移動

2軒目は地下にあるシックなバーに連れて行ってもらった。「やりたいことがあればね、そのためのお金を出してあげられるよ。一緒に暮らしながら自分の好きな子が楽しく笑ってくれるのが幸せだから」という贅沢なお誘いと、「お話も楽しいし、かわいいよね」という褒め言葉を、距離を置いて聞いていた。
 
終電近くになったので店を出て、木枯らしが吹く中、駅へ向かう。

「寒そうだね、大丈夫?」

そう言うとシゲさんはつけていたマフラーを外し、私の首に巻いてきた。年齢を感じるトレンディドラマ風の演出につい笑ってしまう。

シゲさんに巻かれたマフラー

駅のホームに着いてマフラーを返そうとすると「今度会うときに返してもらえれば」と告げられ、電車の窓から見えなくなるまで見送られた。

残念ながらお小遣いはもらえなかった。かといって真剣な気持ちだとわかった手前、お小遣いを要求するのも気が引けた。

翌日、シゲさんからテンション高めのLINEが

後日、連絡をするのも億劫になっていると、「会えないのはお小遣いをあげてなかったからかな!?」ときた。あげるべきだったという気持ちはあったらしい。シゲさんにもう一度会う気にはなれなかった。パパ活はもうこの年齢がすることではないとはっきりわかったからだ。マフラーは着払いで返すことにした。