大人の女性にとって、パパ活の対価とは

パパ活を決行したのは2月の寒い日だった。青山にある高級和食店に連れて行ってくれたシゲさんは、カーキ色の上品なセータ―とハスキーボイスから紳士的な雰囲気が漂う。

趣味や出身地など話題で会話をほぐしつつ、乾杯をした。込み入った話になると「いや、あとで話すけどさ。いろいろあってね」と言葉をぼかすシゲさんからは、同世代にはない人生の重みを感じる。

和風ステーキ。調べたらこの店で一番高いコースだった

シゲさんは男性側から見たパパ活事情を教えてくれた。女性は22歳までの人が多く、3分2の割合で「すぐ会いたい」とメッセージが届くという。そんな中からよく私を選んでくれましたね、と感謝の気持ちを素直に伝えた。

「なんとなくいいなと思ったんだよね。あまりガツガツこられなかったから。キャバクラみたいなノリはあまり好きじゃないし、聞いてもいないのに『大人は3です』とか言われると『は?』って思っちゃうちょっと引くよね(笑)

私も同じようなお誘いがきてうんざりしていたので大きくうなずいた。「そりゃ性欲もあるけど」「性関係は大事だけど」とやたら性を強調するところはスルーしたが……。

綺麗な器に盛られたコース料理はどれも美味しかった。食材の甘みが活きた前菜に、部位や味付けで旨みの違いが楽しめる和風ステーキ。美味しい。美味しいけど、どこかで食べたことのある味だ。29年も生きてしまったから「こんなおいしいお肉、初めて食べた!」とはならない。学生時代の松屋の牛丼がごちそうだった頃とは変わってしまった。もっと若かったら、ちゃんと感動できたはずなのに。私は知らないおじさんと食事をする対価を口に運んだ。

年をとっても好きになる相手の年齢は変わらない

性的な誘いに抵抗があるならば、シゲさんはパパ活になにを求めているんだろうか。

「昨年で離婚して20年でさ。趣味とか仕事は充実はしてるんだけど、やっぱり誰かのために生きるっていう相手がいたらいいなと思っててね。周りからも紹介してもらうんだけど、相手の人は40代くらいで、なかなかねー

「何歳くらいがいいんですか?」

「これ言うと結構怒られるから半分冗談で聞いてほしいんだけど……自分が好きになる子ってね、20歳のときから23から29歳あたり。自分の年は変わっていくけど、好きになる年代は変わらないんだよね
 
ということは、だいたい30歳も年下の女性と付き合いたいということか。

「相手の人を女性として可愛いと思えるかが一番目の入り口。それがないと恋愛にならないからさ」

言っていることはわからなくはないのだが、そんな無理難題を……と唖然としたところで2カ月前まで31歳の彼女がいたことがわかった。離婚後に付き合ってきた彼女はすべてそれくらいの年齢だというから、彼にとっては夢物語ではないらしい。