ケチというより「足るを知る」

「まだ動く」
「修理すれば使える」
「この機能で十分」
「捨てるくらいなら譲るべき」
「そんな高いもの必要ない」

こういった価値観のせいで、「ケチ」や「倹約家」と言われることが多いドイツ人。無駄な消費を好まないという意味では、たしかにそうだ。

ただわたしは、消費をあまり好まないこの姿勢に、「ケチ」というよりはむしろ「愛着」を感じている。自分が使ったものをゴミにしたくない。せっかくならだれかに使ってほしい。そういう気持ちだ。

結果的にケチであっても、どちらかというと「大切にしている」とか「足るを知る」というほうが、しっくりくる。

そんな国で生活しているので、おかげさまで消費意欲というものがすっかりなくなった。スマホはSONYの型遅れの機種で、その前は彼のお古。それに月250MBのプリペイドをチャージして使っている。友だちから服をもらったこともあるし、あげたこともある。服は着れればよし。靴は水が入ってこなきゃよし。家電は動けばよし。椅子は座れればよし。

そんな生活なものだから、日本で生活するよりも全然お金が減らない。モノを買う必要がないのだ。事実ドイツ人も、貯蓄が好きな国民性で知られている。

「じゃあドイツ人って、なににお金使うの?」

世界で3番目にドイツ人がお金をつかっているもの

答えは、旅行だ。

ドイツ人は「ケチ」と言われがちだが、実は旅行にたくさんお金を使うひとびとである。UNWTO(国連世界観光機関)による2017年の統計では、国際観光支出は1位中国、2位米国、3位がまさかのドイツ。「爆買い」と呼ばれる中国人の観光スタイルや、ケタ違いの金持ちがいるアメリカはなんとなく想像できるが、「ケチ」と言われるドイツ人が3位なのだ。しかも「人口1人あたり観光支出」を見ると、中国は186ドル、アメリカは382ドルだが、ドイツは964ドル

観光庁による「訪日外国人の消費傾向」を見てみると、観光・レジャー目的で来日したドイツ人の56.6%、半数以上が、14日以上日本に滞在していることがわかる。しかも同行者は、「自分ひとり」が34%とトップ。ひとりで日本に半月以上もいるらしい。

ちなみにドイツ人の旅行中の消費額の構成比は、45%が宿泊代でトップ。ドイツ人はどうやら、宿泊先に結構こだわるみたいだ。

たしかに半月以上も同じ国にいることを考えれば、毎日毎日朝から晩まで出歩くことはないだろう。ときには昼まで寝ていたり、朝散歩して昼はホテルで休んで夜飲みに行ったりもする。だから、快適な宿泊先を選びたくなる気持ちもわかる(英国やフランス、イタリア、アメリカ、カナダからの訪日観光客も総消費額の四割以上が宿泊代で、アジア諸国の場合、宿泊代の割合は3割前後が多い)。