# 世界経済

中央銀行の予測で騒ぐ人たち…優秀な人たちを盲信してはいけない

後追いの情報に過剰な反応は無用
広木 隆, マネクリ プロフィール

中央銀行の優秀な人の予測が市場の混乱を招く要因

ECBは昨年12月時点に1.7%を見込んでいた実質GDP成長率の見通しを1.1%と大幅に引き下げた。潜在成長率も下回る水準だ。

これで「世界景気減速懸念」と一斉に報じられたが、やはりSo what?ではないか。完全に後追いだからだ。

ドラギ総裁自身が認めるとおり市場が先に動いて、ECBのスタッフ見通しがそれを追認した格好だ。もっと言えば、欧州委員会はちょうど1ヶ月前に、今年の域内経済成長率予測を従来予想の1.9%から1.3%に引き下げた。0.6%の下方修正は今回のECBスタッフ見通しの改定幅と同じであり、ECBスタッフは市場と欧州委員会の両方を後追いで見通しを変更したに過ぎない。

 

中央銀行の調査部門のスタッフといえば、間違いなく優秀なひとたちだ。

だが、そういうひとたちの予想が当たるわけではない。我が日銀を見てもわかるだろう。日銀の調査部門のスタッフは我が国が誇る俊英ぞろいである。

しかし、展望レポートを出す度に、下方修正に次ぐ下方修正。つまり、彼らの見通しは外れ続けているのである。彼らの予想が当たるなら、ECBはとっくに利上げに踏み切り、日本だってインフレが2%に近づいていただろう。しかし、現実にはそうなっていない。

であるなら、ECBスタッフ見通しが(しかも完全に後追いで)引き下げられたくらいで、なぜこれほどマーケットは大騒ぎするのか。理由は簡単、売る口実にしたいからだ。今の市場には2種類の人間しかいない。本当は景気後退などどうでもいいのにネガティブなことを言って、いろいろな恩恵に浴すること(メディアで注目されることもそのひとつ)を目的に騒ぐひとと、天真爛漫過ぎて真面目に心配して狼狽売りをしてしまうひとだ。こうして市場の混乱は大きくなる。

それほど中央銀行のスタッフの優秀さを信じるなら、やはりこの下げは買い場だろう。ECBスタッフ見通しによれば、今年の成長率は1.1%と大幅に下げたが、来年は1.6%とV字回復する予想なのだから。

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