「結婚神経」

私の運動神経の悩みが長くなりましたが、さて、どう思われましたか? そんなにやりたいなら努力して練習すればいいじゃないか、と思いましたか。それとも、人と親しくなる方法は他にもあるのだからそんなに苦悩することじゃないと思いましたか。

もうお分かりかもしれませんが、結婚したいとか、どうしたら結婚できるかとか、そういうお悩みも基本的には同じようなことなんじゃないかなと思うんです。みんな結婚できていいなあってなんとなく羨ましくなる気持ちと、スポーツ万能の人は人生が楽しいだろうなあって私が思う気持ちはそんなに変わらないんじゃないかなって。

結婚も沢山努力すれば、何か特殊な事情がない限りかなりの確率でできると私は思います。出会いがない? 努力すれば出会いなんかいくらでもあります。結婚相談所に登録するとか、お見合いパーティーに行くとか、友人知人に紹介してもらうとか。そういう直球行為が恥ずかしければ、もっと趣味の仲間作りみたいな方向から人と知り合うのはどうでしょうか。

おいしいものが好きなら料理教室に通ってみるとか、お酒が好きなら全国の蔵元を回る旅をしてそれをブログにしてみるとか。そこまでしなくても、女性も通ってくるような飲み屋を新規開拓するだけでそこに新たな人間関係ができませんか。

結婚できるかどうかは、いい仕事に就いているかとか、お洒落かどうかとか、女の人との会話がうまいかとか、そういうこととはまったく関係ありません。非の打ちどころのない人でも結婚できない人は案外いるし、仕事もろくにしていなくて、どこから見てもモテるわけなさそうで、何の努力もしていなさそうな男の人でも結婚している人は沢山います。

結婚できている人はもともと〝結婚神経〟に恵まれているだけなのです。もともと運動神経のいい人は、そんなに努力しなくても各種スポーツを楽しめるし、普通程度の運動神経でも跳び箱くらいは飛べるのと同じように。

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得意なことに時間を使う

工夫し努力し諦めなければ結婚できると思います。そこまでするほどでもないというのなら、あなたの人生に結婚はそんなに必要なことじゃないんですよ。ちょっとだけ人が羨ましいだけなんですよ。大勢の人ができていることを自分ができなくて、少し不安なだけなんですよ。いっそのこと諦めちゃいませんか?

努力すればできることは沢山あります。小さいことから大きいことまで、くだらないことから高尚なことまで。でも持って生まれた自分の身はひとつだし、一日は24時間しかないし、人生は百年あるかないか。このお悩みの方は45歳なので、あと半分くらい人生はあると思っても最後の15年くらいはもう完全にお年寄りと呼ばれる歳で、気力体力が充実している時間は思ったより限られてきませんか。

努力してかなりの時間をひとつのことに向けて費やせば、できないことができるようになる可能性は大きいです。でも不得意なことを克服することも人生には必要なことですが、大勢の人がやっていることだからって全員がやらなくちゃいけないってことでもありません。得意なことをもっと得意にすることに時間を使った方が楽しいし有効だと思いませんか。

きっと今その歳で切羽詰っていないということは、あなたの人生にとって結婚は重要な問題ではないと心のどこかで思っているから「ぼんやり」しているのでは? 跳び箱も飛べないような意気地のない人間に言い切られて釈然としないとは思いますが。

ひとり上手な結婚』「夫の家族が嫌い!」「 子どもが欲しい? 欲しくない?」「やきもち焼きどうにかして」「情熱がなくても結婚していいの?」等々18の読者からの質問に、山本文緒さんがエッセイで、伊藤理佐さんが漫画で答える漫画エッセイ。お互いへの質問に加え、お互いの夫(吉田戦車さんとOさん)も登場している