日本のトマト農家で働くベトナム人女性〔PHOTO〕iStock

「切りやすい人々」とは誰か? 「移民の時代」と「人間の条件」

外国人労働者と非正規労働者が増えた理由

「平成」とは何だったのか

もうすぐ終わる「平成」という時代は、この国でも外国人が大きく増えた「移民の時代」として記憶されることになるだろう――。

「昭和」の実質的な終わりを昭和63年とすると(昭和64年は7日で終わった)、その年の在留外国人数が94万人で100万人にも満たなかったということは今こそ思い起こされるべき事実だと思う。

なぜなら、直近の在留外国人数は260万人を超え、数年以内に300万人を超えることがほぼ確実だからである。平成とは、在留外国人が3倍近くに増えた時代だったのだ。

ここに事実だけを並べてみたい。

バブル全盛の昭和63年当時、日本で暮らすベトナム人は5千人にも満たなかった。ブラジル人もわずか4千人強、ネパール人に至っては380人しかいなかった。

それが、昨年6月時点ではそれぞれ29万人(61倍)、20万人(47倍)、9万人(225倍)へと大幅に増加している。

在留外国人の推移。90年前後から増加スピードが速まっている

国会図書館で様々な統計を読み込みながら、私はこれらの単純なファクトに衝撃を受けた。

たった30年前、私が生まれた頃の日本には、かの悪名高い技能実習制度はまだ存在すらしなかった。

ブラジルなどからの日系人もまだ少数だった。当時は在留外国人の7割以上が在日コリアンの人々だったのである。

だが現在、その割合は2割未満へと減少している。在留外国人は著しく多様化したのだ。

「平成」は外国人の受け入れ拡大に始まり、外国人の更なる受け入れ拡大に終わった。

始点は平成元年の入管法改正。日系人の受け入れを一気に拡大し、のちの技能実習につながる在留資格「研修」を創設した。

そして終点は、この4月から施行される昨年末の入管法改正だ。非熟練分野での外国人労働者受け入れを一層加速する在留資格「特定技能」を新設し、今後5年間で新たに最大34.5万人の受け入れを見込む。

日本はこの30年間で外国人労働者を受け入れるための様々な方便を編み出してきた。特定技能はその最新型だが、技能実習ももちろんその一つだ。血のつながりを理由にした日系人の受け入れなど、ほかにもたくさんの受け口が構築されてきた。

だが、それらの間の区別がきっちりついている人は一体どれぐらいいるだろう。あまりに複雑すぎて、色々と混同してしまってはいないだろうか。

一つ簡単な練習問題を出してみたい。

「ここ数年でコンビニや居酒屋で働く技能実習生が急増した」――もしこの文章に違和感を感じなければ、ぜひ新刊『ふたつの日本――「移民国家」の建前と現実』(講談社現代新書)を読んでみてほしい。

コンビニで働いている外国人は技能実習生、ではないのだ。だとすれば一体誰なのか。そして、コンビニや居酒屋でないとすれば、技能実習生はほかのどんな場所で働いているのか。そうした違いが正しく理解できるようになるはずだ。