精度90%超え! 「顔だけで遺伝子性疾患を推定」するアプリの驚愕

スマホのカメラがセカンドオピニオンに
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米国国立ヒトゲノム研究所の臨床遺伝学者であるPaul Kruszka氏は、「少なくとも小児科医や遺伝子学者は、今後このテクノロジーを幅広く活用することになる」と予測。

「あたかもGoogleのように」「聴診器と同じように」この顔認証技術を当然のツールとして使用するだろうと明言しています。

専門性の敷居が低くなり、医療費が低くなれば、今後さまざまな患者にとって望ましい世界が拓けてくるかもしれません。

懸念される「サイロ化」とは?

問題は認証技術の心臓となるデータが「サイロ(縦割り構造)化」されてしまうことです。民族的な偏りが残ったデータをサイロ化してしまうことだけは、避けなくてはいけません。

英オックスフォード大の計算生物学者、Christoffer Nellåker氏はこの問題点を指摘。研究者と企業が共同で、恣意的にデータを商品として扱い、サイロ化させる可能性があることを懸念しています。

顔認証Photo by iStock

先に述べました2017年のダウン症検査の例では、白人と黒人では認識率が80%と37%も差が開きました。──43ポイント、つまり2.1倍以上の大きな差異です。

この違いが「民族に由来するもの」であれば、倫理上ほんの些細な小数点以下の誤差でさえも放置するべきではありません。

医療がさらに「民間」依存へ

最新技術により生活が豊かになるのは喜ばしいことですが、医療となれば慎重になる必要があります。

「誰にでも適切な医療を」という考えと、それに立脚する制度が20世紀より脈々と続いてきました。医療は公共のものであることが望ましいということですね。

現在でも国や自治体には、国民保険システムや、公立病院を可能な限り整備することが求められています。

実際に先進国各国における公費の負担額は平均して約60%ほど。アメリカは医療格差が非常に大きく「アメリカ旅行中に事故に遭ったり風邪を引いたりすると多額の借金を負ってしまうことに……」なんて笑えない笑い話もあります。

これに歯止めをかけようとしたのが2010年に成立した通称オバマケア。医療は公的サービスであるべきという考えが世界の声でしょう(その後に州ごとにひっくり返されたりしているものの……)。

このように医療には「公」の側面が強く認められていることは自明です。しかしながらテクノロジーを礎とする医療を推し進めていけば、前述の論文でも指摘するように「民間」への依存度が高まることは避けられません。

聴診器やレントゲンなどといったこれまでの科学とは違い、製作過程次第でバイアスがかかってしまう可能性のあるソフトウェアのツールだからこそ、その実用化には事前の熟慮が不可欠ではないでしょうか。

ライター:川合裕之
AI、IoTライター。新たな技術がいかに社会や日常に接続されるのか? をテーマに日々勉強中。人間でなくてもできることを追求することで、逆説的になにが私達を人間たらしめているのかを考えます。アメリカ映画を中心にカルチャー系の記事も多数執筆。関西学院大学文学部卒。
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