山中にひっそり佇む
あの世への入り口!

黄泉比良坂(島根県松江市東出雲町)

『古事記』に収録されたイザナキ・イザナミの「黄泉の国訪問」神話に登場する地で、“この世とあの世の境” といわれる場所。一見、石柱としめ縄があるだけだが、これらは黄泉の国から悪いものが入るのを防ぐための結界。これをくぐると、黄泉の国から追いかけてきたイザナミを阻止するために、イザナキがバリケードがわりに置いたといわれる岩が鎮座する。岩のすぐ向こうは死者の世界だと思うと、この世とあの世は表裏一体のような気がしてくるから不思議だ。

「東出雲町附谷から5分ほどでしょうか、看板に沿って山道を登って行きます。ちなみに、周辺には「黄泉比良坂 “黄泉の国への入口” まで徒歩○分」という案内があるのですが、出雲でしかありえない表示ですよね。」

どう見ても妖怪が宿る奇岩

七尋女房岩(島根県隠岐郡海士町)

山陰地方には、身長または首が7尋(約12.7m)もある巨大な女の妖怪の言い伝えがある。七尋女房(七尋女、七丈女ともいわれる)と呼ばれるこの妖怪、山道を行く者に様々な悪さをしたとか、美しい姿で7尋もの長い衣を引きずって物乞いをして歩いていたとか、桜の古木の下に首が7尋も伸びる妖怪が現れたとか、各地で様々な話が残っている。明治になっても目撃情報があるほど、この地方に縁が深い。この妖怪が侍に斬られて岩と化した、といわれているのが、隠岐諸島の中ノ島にある七尋女房岩だ。高さ6m、幅3mの岩は今も少しずつ成長しているとも。かの水木しげるも生前ここを訪れており、岩を見て「これは本物だ」とうなったそうだ。

「岩は巨大なダルマのようにも見え、その大きさと表情から、近くで見るとギョッとしてしまいます。単なる岩には見えないただならぬ存在感。このように実際に形をもっている妖怪というのは、全国でも珍しいです。」

●情報は、FRaU2018年12月号発売時点のものです。
Illustration:Mizmaru Kawahara  Text & Edit:Yu Ikeo