この「宇宙」にはあなたのクローンが無限に存在する...驚くべき結論

宇宙論のいまが分かる
須藤 靖 プロフィール

隣のクローン宇宙までの距離

では、そのクローン宇宙まではどれだけ離れているのだろう。その距離は、我々の宇宙を特徴づけるために必要な数字列の長さに依存する。

言い換えれば、我々の宇宙のもつ有限自由度の個数を数え上げることになり、これは仮定Cを認めたとしても、具体的な値を決めるのは容易ではない。そこでとにかく計算することを目的として、以下のようにかなり単純化した設定を考えよう。

我々の宇宙はすべて水素原子からできているとする。隣り合った原子はギリギリまで圧縮すると、その中心にある原子核(陽子)のサイズである10-13センチメートルまで接近することが可能であろう。

そこで、半径138億光年の球内を、一辺10-13センチメートルの格子で満たし、その格子内に原子を配置するかしないかの2通りを考えれば、我々の宇宙の物質分布の配置の自由度を記述し尽くせるはずだ(繰り返すが、この仮定はいずれもあまりに理想化されすぎており、ツッコミどころ満載であるが、そこはご容赦いただきたい)。

半径138億光年の球の体積は、一辺10-13センチメートルの格子にして10123個に相当する。その各々の場所に原子を置くかどうか2通りの可能性を考えれば、2の10123乗が、我々の宇宙がもつ自由度の数となる。

つまり、我々の宇宙と同じ体積をもつ宇宙が2の10123乗個存在するだけの体積を考えれば、そこには平均的にはクローン宇宙が存在することが期待される。

この体積の半径は、おおよそ10の10122乗億光年となる。念のために強調しておくと、10の122乗(=10122)億光年ではない。10の(10の122乗)乗(=1010122)億光年なのである。

クローンユニバースまでの平均的な距離クローンユニバースはどこにあるのか

さて、我々の宇宙の完全デジタルコピーであるクローン宇宙が実在するという今回の主張に納得していただけたであろうか。

もう一度読み返してもらえれば、決して不自然な仮定はしていないことに同意してもらえると期待する。しかしながら、そのクローン宇宙までの距離は、まさに想像を絶するとしか言いようがない。そしてそれこそがまさに『不自然な宇宙』の魅力にほかならない。

・宇宙に果てはあるのか?
・宇宙に始まりはあったのか?
・宇宙の外側に何があるのか?
・「別の宇宙」は存在するのか?

これらの問いに宇宙論研究者が本気で答えます。