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この「宇宙」にはあなたのクローンが無限に存在する...驚くべき結論

宇宙論のいまが分かる

デジタル化する現代社会

現代社会はあまねくデジタル化へと突き進んでいる。もはや、アナログという単語は、良くも悪くも、侮蔑あるいは逆に郷愁をこめた文脈で用いられるのが普通になってしまった感がある。

音楽や映画がデジタル化されたデータで提供されるようになった結果、そのコピーには制限がつけられている。さもなくば、完全に同じコピーが氾濫してしまい、商業的には成り立たないのだ。

とはいえ、一般人の耳では区別できないにせよ、実際のアナログ演奏と、それをデジタル化した音楽CDの持つ情報量は、厳密には同じではない。デジタルコピーはあくまで近似に過ぎないのである。

デジタル音源デジタルデータは完全に同じコピーが可能 Photo by iStock

しかしながら、仮にオリジナル自体がアナログではなくデジタル機器を用いて作曲・演奏されたものであれば、そのデジタルコピーは真の意味でもオリジナルと区別できず、正真正銘のクローンとなってしまう。

さて、この考察を一挙に我々の宇宙に応用すれば、なんと、我々とまったく同じ宇宙──クローン宇宙──がどこかに実在するという驚くべき結論が導かれるのだ。

まずその前に、「我々の宇宙」という言葉の意味を定義しておく必要がある。あえて「我々の」という形容詞をつけているからには、「我々以外の」宇宙の存在が前提となっていることは明らかだ。

そのような階層的な宇宙観を示すのがマルチバースという造語である。そのマルチバースの中に、無数のユニバースがあり、その中の一つが「我々の宇宙」だと考えるわけだ。

この程度の説明では、まだマルチバースという概念がわかった気にならないのも当然だ。しかも、マルチバースにも様々な論理的可能性があり、それらは科学的に証明されていないどころか、証明すること自体不可能だと思われるような哲学的概念であるというべきなのだ。

したがって、ここではその中でもっとも自然だと思われる例に限って説明してみよう(マサチューセッツ工科大学のマックス・テグマーク教授の提案した分類によれば、レベル1マルチバースに対応する。ただしこの場合は、以下に述べるようにとりたててマルチバースと呼ぶ必要はない)