陰謀論じゃない、ユダヤ人が世界史に与えた影響

ゾンバルト先生が、資本主義の根本を説明します
石井 徹 プロフィール

世界史を動かすユダヤ経済

1492年といえば、コロンブスがアメリカ大陸を発見したことで有名です。その年、彼を送り出したスペインで凄いことが起きています。「ユダヤ人追放令」が発布されたのです。

 

それまでもスペインでは、ユダヤ人に対して弾圧を行っていました。ただ、この追放令は決定的でした。当然、その追放令の前後、ユダヤ人は大量に外国へ逃げ出しています。

イラスト:名波優太

それと同時に、お金や資産もほとんど外国に移動させています。その筆頭がオランダなのです。オランダは宗教に寛容だったので、彼らにとっては安全な国でした。

お金がなければ産業なんて育ちません。資本ができればあとは知恵だけです。オランダはまずは毛織物産業が発達します。

そして金融業も発達します。それに付随して色々な産業も発達し、GDPが急上昇するわけです。軍隊も完備します。ここまでくると宗主国スペインに頭を下げることはないのです。「もう嫌だ。独立しちゃおう」となるのです。

当然イギリスにも資産が入っています。そのおかけで相当GDPは上昇したでしょう。反対に衰退したのが、スペイン・ポルトガルです。お金が無くなっちゃったのですから、当たり前です。

現在では「クレヨンしんちゃん」の映画が興行成績1位になるほど日本の漫画を理解してくれる、私どもの業界としては非常に大事な国なのです。500年前にそんな変な命令を出さなければ、我が国の漫画産業にとってもっと大事な国になっていたでしょう。

1588年に無敵艦隊はイギリスに粉砕されますが、要は滅ぶべくして滅んだということです。背景にユダヤ人の経済力が影響したなんて、普通は知りません。そんなことは世界史の教科書には書いてありません。60近くなって、やっと、高校時代からの疑問が氷解したのです。

資本主義の根本をわかりやすく

さて、この「ユダヤ人と経済生活」を、どうやって漫画にしたものか。漫画家の名波さんと悩みました。何しろ原著は論文ですから、時代が古代の話になったかと思うと、現代の統計なんぞが出てきます。時代があっちこっちに移動して論じられております。

どうしたものかと悩んでおりましたが、「エイヤーッ!」とスペインとユダヤ人の関係に絞りました。時代も10世紀から17世紀初頭を主として描くことに決めました。設定もスペインに住んでいたユダヤ人のある一族の話になっています。

主人公は、初代から何十代目かの一族の当主です。こうしないと一定の視点でドラマを追っていけません。その当主たちが、その時代にどんな目に遭い、どうやって切り抜けてきたか、という大河ドラマ仕立てです。

NHKの「いだてん」は約100年を描いていますがこちらは700年を圧縮してつくれております。凄い!

本書は社会学ではありますが、経済史でもあります。たぶん社会学科や経済学部の学生も楽しめると自負しております。

本書を読んだら、原著「ユダヤ人と経済生活」をお勧めします。日本では無名ですが、ゾンバルトは凄いと思われる方が多くなると思います。御一読ください。