ゾンバルト先生が証明した、ユダヤ人の「まじめさ」
誤解しないでいただきたいのですが、よくあるユダヤ人陰謀説ではありません。「まんが学術文庫」としてはゾンバルト教授の第2弾です。ライバルのマックス・ウエーバーは出さないのかとお叱りを受けるかもしれません。ちょっと手違いでこちらが先になりました。ウエーバーの方は現在別の漫画家さんが鋭意製作中です。
先に「恋愛と贅沢と資本主義」を漫画にしましたが、実はこの「ユダヤ人と経済生活」とどちらを先に出すすべきか迷いました。漫画家さんの希望で「恋愛と贅沢と資本主義」が先になったのです。
原著の凄いところは、数字と統計資料です。例えばユダヤ教では妻としかエッチをしてはいけないことになっています。エッチは子孫をつくるためのもので、愛欲のためにしちゃいけないのです。まあ、どこの宗教でもそんなことを言っていますが。
このゾンバルトという人の凄いのは、本当にそれが守られたか、過去の資料を徹底的に調べあげたことです。
例えば、ある都市の私生児の数を宗教別に統計資料に挙げています。そうするとユダヤ人の私生児がキリスト教徒の私生児より極端に少ないことがわかります。
ということは、ユダヤ人がかなり宗教的教義を守ったことになります。私に財力があったら愛人をつくったでしょうから(娘たちには内緒です)、偉いです。冗談です。
ユダヤ人がお金持ちと言われる理由
ともあれ、徹底的に数字を挙げられると説得力があります。原著を読んでいますと、資本主義が生まれ、発展した理由は、ユダヤ人とユダヤ教の教えにあるような気分になってしまいます。
特に、金融資本については真実だとしか言いようがないと思えてきます。もちろん異論がある方もいるでしょうが。
原著では、紀元前から近代までユダヤ人の経済活動と宗教的思考を描いています。その中で気になるキーワードが2つあります。
1つ目は「主知主義」です。簡単に言えば、「知識」や「知性」を第一とする考えです。それがユダヤ教の中に組み込まれている。何でもかんでも勉強しちゃう。それはいいことだということになります。
結果的にそれが富、金を生み出すという風に読めてしまうのです。実に現代的ですが、ユダヤ教はそれが徹底しています。

ユダヤ人といえば、商売に強い、金融業に強いというイメージがあります。日本人の私としては、それでお金持ちになっていればいいじゃんと思ってしまうのです。
ところがユダヤ人は、科学や芸術、あらゆる分野で活躍しています。俳優のポール・ニューマンが、晩年、自分はユダヤ人だと告白してビックリした記憶があります。
確かに、どんな分野でも知識を徹底的に学べば、自分の身を守ることになり、結果的には富が築けるでしょう。音楽家も上り詰めれば凄いお金が入ってくるでしょう。バーンスタインの挨拶は「最近お金を稼いでいるか」だったそうです。
科学者でも、特許などで凄い富が入ってくる可能性があります。数学者だってちょっと応用して金融工学なんてやった人は凄いことになっております。
一見、お金と関係ないようなものでも、徹底的に研究すれば富になる。この原著を読んで私にはそう思えたのです。好きなことを徹底的に追及しているうちにお金が入ってくる、と読めるのです。