地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
この日、X線の発見者として知られる、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(Wilhelm Conrad Röntgen、1845–1923)が、ドイツ西部の都市レンネップに生まれました。
1895年の秋、ヴュルツブルク大学の教授だったレントゲンは、クルックス管を用いて陰極線を研究するうちに、黒い紙や木片など不透明な物体を通過する未知の電磁放射線を発見し、これにX線と名づけました。
人体を透過して骨の姿を映すX線の発見は、多くの人々に驚きを与えました。X線の正体は長い間不明でしたが、1900年にレントゲンが実験物理学の主任教授として移籍したミュンヘン大学での同僚、マックス・フォン・ラウエ(Max Theodor Felix von Laue、1879-1960)が明らかにします。
ラウエは1912年にX線回折像の撮影を行い、X線が電磁波であることを初めて立証しました。
ただ、正体不明であっても透過性の高いX線の発見はただちにX線写真として医学に応用されたため、レントゲンは1901年に第1回のノーベル物理学賞を受賞しています。しかし、科学の発展は万人に寄与すべきであると考え、ノーベル賞の賞金についても、ヴュルツブルク大学に全額を寄付したそうです。
現在、X線は、化学物質の構造決定や、医療診断において欠かすことのできないものになっています。