話題の「二つ折りスマホ」が普及しないと言えるたった1つの理由

「5G」時代の切り札は別にある
西田 宗千佳 プロフィール

5Gは有望だが…?

もう少しはっきり言えば、スマートフォンは「5Gを活かすには向いていない端末」だ。なぜなら、現在のウェブサービスは、4Gで快適に使うことを目的に、「4Gを搭載したスマートフォンに特化してつくられている」からだ。

そして、4Gでないときの通信手段として「Wi-Fi」がある。家庭やオフィスの光回線とWi-Fiの組み合わせであれば、通信速度の問題に直面する機会はあまりない。

5Gでは、4Gよりも効率的な通信が行える。

最高で数Gbpsクラスの通信速度と、通信の反応速度といえる「遅延」の低減、同一エリア内における同時通信可能な端末数の増加が実現する。

要は「高速でキビキビとした反応の通信を、同時にたくさんの人がいる状況でも実現する」ことが可能になるのだ。しかし、そのためには、5Gのインフラが世の中に広まることが必要だ。

そして、現時点で利益を生み出さなければならない多くのサービスは、その未来を待ってはいられない。理想的な環境とは大きく異なるものの、「よく整備され、安定した4G環境」と「スタートしたばかりの5G環境」の差を、見慣れたスマホ上のサービスで体感するのは難しい。

スマホに代わる牽引役は現れるか

本来、5Gには「4Gにはできないこと」がある。それを表現するには、スマホのような4G時代に最適化された機器ではなく、まったく新しい機器が望ましい。

5Gのデモでは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)が多数、使われている。理由は、VRやARでは、5Gの特性である「低遅延」という要素が重要であり、4Gとの違いをアピールしやすいからである。

【写真】

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)は、「低遅延」という要素をアピールしやすいため、5Gのデモによく利用される photo by gettyimages

とはいえ、今の技術力から判断すれば、VR機器がスマホのように大量に売れる時代はもう少し先になる。

5Gの普及は、通信速度や通信コストの考え方を大きく変えるものであり、生活にも産業にも巨大な変化をもたらすだろう。その一方で、サービス開始の初期にどんな端末を提供すべきか、という点については、なかなか答えが見出せていない。

2010年、3Gから4Gに変わるタイミングでは、「スマホ」が登場し、それが4Gのニーズを牽引した。

5Gを引っぱる存在が何になるのか──いまだ明確ではなく、少なくともそれは、「画面が大きくなったスマホ」ではない、と筆者は思うのだ。