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ボーイング機墜落事故の対応で、中国にも後れをとった国交省への疑問

日本の空の安全は守られるの?

先週日曜日(3月10日)午前、エチオピア航空のボーイング737MAX8型機がアディスアベバを離陸直後に墜落し、乗客・乗員157人全員が死亡する惨事が起きた。ボーイング737MAX8型機は今、売れ筋の小型旅客機だが、インドネシアのLCCライオンエアの同型機が昨年10月29日、似たような状況でジャカルタ沖に墜落する事故があり、189人の死者を出したばかりだ。そのため、機体の欠陥に対する懸念が世界中を駆け巡った。

この事故調査の初動で、ボーイング737MAX8の製造国であり、その機体の設計承認を出したFAA(米連邦航空局)は、CAAC(中国民用航空局)に運航停止命令の発出で後れをとり、存在意義を問われている。また、日本の国土交通省も対応が遅かった。

長い歴史と実績を持つFAAに何があったのか。国土交通省は、われわれ日本人利用者にとって頼りになる存在なのか。最新の状況を確認しておきたい。

 

いち早く動いた中国

皮肉なことに、2つの墜落事故が起きたボーイング737MAXは今、航空機市場で最も売れている最新鋭旅客機のひとつだ。ボーイング社が航空各社への納入を始めたのは2017年で、同社の3月13日の発表によると、これまでに371機を納入した。受注残は4723機もある。座席数は最大200程度の小型旅客機だ。全長が短い順に、737MAX7から737MAX10まで4タイプあり、墜落したのはいずれも737MAX8だった。

人気の背景には、世界各地でローカル空港の整備が進む中で、搭乗率向上が航空会社の至上命題になっているという事情がある。空席が出易い大型機より、小型機の方が搭乗率を上げやすい。小型機で運行頻度を上げた方が旅客にとっても便利だ。燃費が良く、LCC向きという特色もある。

737MAXのライバルは、欧州エアバスの最新小型機「A320neo」だ。両者の受注競争はし烈で、エアバスは今年2月に超大型機「A380」の生産停止を発表、小型機に集中する構えを見せていた。

日本ではANAホールディングスがA320を18機、737MAXを30機導入する計画を持っている。

話を事故に移すと、2つの墜落は、いずれも離陸直後に起きている。ジャカルタ沖の事故の調査はまだ続いているが、目下のところ、インドネシア運輸安全委員会が昨年11月の中間報告で、機体姿勢を認識するセンサーに誤った情報が入力され、墜落につながった可能性があると指摘したことが、大きな注目点だ。

様々な報道を総合すると、操縦の自動化が進む中で、手動操縦中に機体が高度を上げ過ぎたり無理な上昇姿勢をとったりしていないのに、自動制御が働いて機首が下がる問題の存在が取り沙汰されている。

アディスアベバ近郊の事故でも、エチオピア航空のテウォルデ・ゲブレマリアムCEOが米CNNテレビの独占インタビューで、墜落直前のパイロットと管制官との会話記録に触れ、パイロットが「操縦装置に問題がある」ことを理由に「空港に戻る」許可を要請し、管制官が許可した途端、機影が管制塔のレーダーから消えたと説明。ジャカルタ沖事故との共通点が多いと強調した。

ボーイングはジャカルタ沖墜落事故を受けて、墜落につながったとみられる対応ミスの再発を防ぐことを目的とし、すべての操縦士が追加訓練を受けることを推奨していたが、エチオピア航空のパイロットは、この訓練を受講済みだったという。

今週日曜日(3月17日)、墜落したエチオピア航空機の「フライトレコーダー」と「ボイスレコーダー」の解析作業を進めてきたフランスの航空事故調査局は、両装置からのデータ回収に成功し、エチオピアにデータを提供した。これを受けて、エチオピアのモゲス運輸相は外国通信社に対し「去年10月に起きたインドネシアでの同型機の墜落事故とのはっきりとした類似性がある」とコメント。今後、この点について詳しく調査していく方針を明らかにした。

空の安全に対する信頼が揺らぐ中で、初動の対応をいち早く打ち出したのは、中国の航空局CAACだ。CAACはエチオピア航空機の事故翌日にあたる月曜日(3月11日)、中国の航空会社に対し、737MAX8全機の運航を停止する勧告に踏み切ったのだ。

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