20年後、気温が2度上昇で日本の「豪雨」は1割増。4度上昇では?

大量のシミュレーションが解明
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藤田さんらは、まだ社会が二酸化炭素を大量に排出していなかった産業革命前に比べて地球の平均気温が2度上がったとき、降水がどう変化するかを調べた。

「2度」といえば、2015年のパリ協定で地球温暖化を抑制する目標として掲げられた注目の数字。だが現実には、二酸化炭素を削減する努力をしてもしなくても、2040年前後に、いったんは気温が2度くらい上昇すると予測されている。

つまりこれは、20年後にほぼ確実にやってくる「近未来」の天気の話だ。

豪雨Photo by PhotoAC

「降らないときは降らず、降るときは激しく」

気温が1度上がると、大気が含むことのできる水蒸気の量は7%増える。だが、近未来の日本周辺では、暑い日に降る強い雨は、水蒸気の増加分に比例して強くなるのではなく、これを上回って強くなることがわかった。

この研究で再現した計算上の日本列島では、20世紀後半くらいに降っていたもっとも強い雨は、1日あたり60~150ミリくらいだった。その雨量が、2040年前後の近未来には全体的に1割以上も増えていた。強い雨が、もっと強くなるということだ。

地球温暖化を抑制する対策をとらず、今世紀末に気温が4度上がってしまうと、この増加分は2割前後に達する見通しになった。

未来の降水量日本周辺で、1年のうち1日にもっともたくさんの雨が降る日の降水量(年最大日降水量)は、地球の平均気温が2度上がる2040年前後(2030~2050年)には1951~2010年の1割以上増える(左)。4度上がる世紀末(2080~2100年)には、2割増しに達する(右) (藤田さんら研究グループ提供)

短時間に降る強雨がさらに激しくなる度合いは、夏などの暑い日に大きかった。強い雨の1時間あたりの雨量は、1日の平均気温が14度くらいの日を境に、それより暑い日は激しさを増し、低温の日には逆に激しさが減る傾向にあった。

また、世界的に、雨が降らない日の連続日数が長くなっていく傾向もみられた。

「降らないときは降らず、降るときは激しく降る」という降り方が、日本も含め、将来の標準形になっていくことが、今回の計算で改めてはっきりした。

ときに大きな災害をもたらす集中豪雨は、山や谷などの小さな地形が原因となる狭い局地的な現象であることも多い。研究グループの海洋研究開発機構気候変動適応技術開発プロジェクトチーム、渡辺真吾(しんご)プロジェクト長代理によると、この日本周辺のシミュレーションでは、20キロメートル四方を一つの単位として計算しているため、こうした小さな地形は考慮されていないという。

その意味で、今回の研究は日本周辺をおおまかにみた場合の平均像だが、大気は、ちょっとした状況の変化が大きな違いに増幅される「カオス」としての性質をもっている。

「強雨の激しさの1割増し」は、20年後にやってくる。

「たかが1割」ではなく、すぐそこに迫る危機だと思ったほうがよいのかもしれない。

rainPhoto by PhotoAC

サイエンスポータル」過去の関連記事:
•2017年11月8日ニュース「日本の南海上を通る猛烈な台風は地球温暖化で増えることが、初めて明らかに」
•2018年12月17日ニュース「パリ協定の実施ルールは全ての国に共通の基準で COP24で交渉難航の末に採択」

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