Photo by Getty Images

「宇宙強国・中国」の誕生が世界にもたらす最悪のシナリオ

それは、クリミアをみればわかる

やはり「宇宙強国」を押し出した全人代

3月15日、全国人民代表大会(全人代。日本の国会に相当)は閉会する。全人代開会中、中国は2020年前後に宇宙ステーションを建設する、19年末に月探査機「嫦娥5号」を発射して月で土を採取して帰還する、20年に火星探査機を打ち上げるなど、「宇宙強国」を目指す発言が際立った。

筆者は本コラムで、習近平国家主席の肝いりで推進されているハイテク産業育成政策「中国製造2025」(Made in China 2025)の重点課題が宇宙開発であることを指摘してきた。

と同時に、トランプ米政権が「中国製造2025」に対して大きな危機感を抱いていることを示す具体的な事例を紹介した。

その背景には、2014年3月にロシアがウクライナのクリミア半島を武力併合した際に行った電磁波・サイバー攻撃を忘れていないということがある。

ロシア軍の侵攻前、クリミア周辺で携帯電話が繋がらなくなり、次にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=交流サイト)でフェイク情報が流れ出し、最後はGPS(全地球測位システム)が狂い始めた。

異変を察知したウクライナ軍が偵察のためドローンを飛ばしたが、相次いで落下した。ドローンは電磁波で無力化され、レーダー画面は真っ白になり、砲弾の電子信管が落下するなど、ウクライナ市民は何が起こっているのか分からないまま、気がついたらロシア軍に占領されていた――これがロシアによるウクライナ・クリミア半島軍事侵攻の実態である。

 

「次元の違う戦い方」で併合されたクリミア半島は現在、「兵士約3.2万人、装甲車370台、巡航ミサイル発射型潜水艦6隻が配備されるロシアの軍事拠点化」(3月4日のハルチェンコ駐日ウクライナ大使の記者会見)している。

米国防総省(ペンタゴン)はこうした「電子戦争」を分析・検証、得た結論は領域横断で宇宙領域を死守しなければGPS機能が無力化されるというものだった。換言すれば、中央インフラがサイバー攻撃を受け、電磁波であらゆる兵器・装備が使用不能になると”一巻の終わり”ということだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら