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一気に不安定化した金正恩と半島の運命を数パターン予想してみる

ベトナム戦争後のインドシナの命運と…

米朝会談はトランプ大統領の圧勝だった

メディアでは、ベトナムのハノイで2月27日から行われた米朝首脳会談が「決裂」したなどと報じているが、これはとんでもない勘違いである。

事実は、金正恩氏がトランプ大統領に「鼻であしらわれた」だけのことである。

「決裂」の原因として、首脳会談に至るまでの両国の事務レベルでの意思の疎通云々が取りざたされているが、そもそも、米朝間に意思の疎通を行って「交渉」すべきこと無いのだ。

新聞・テレビなどのオールドメディアは忘れっぽいが、米国の艦隊に北朝鮮が取り囲まれて、金正恩氏が真っ青になったのは、ついこの間のことである。

トランプ大統領は、その時から常に「最後通牒」を北朝鮮につきつけていて、それを引っ込めたりしてはいない。ひっこめたように思わせるのが、トランプ流の交渉術である。

米朝首脳会談の機運が高まってから、4回も自身のビジネスの破綻をくぐり抜けた「人生の達人」であるトランプ大統領が、「意図を持って」金正恩氏を持ち上げてきただけに過ぎない。

これまでも述べてきたように、北朝鮮は米国にとって便利な番犬以上のものにはなりえない。北朝鮮が米国と対等に交渉できるなどというのは「誇大妄想」である。

(この点については、これまでも当サイト2018年12月26日の記事「米国に見捨てられたら、韓国は北朝鮮より先に『崩壊』する可能性」などで述べてきた)

しかし、実はこの金正恩氏に「誇大妄想」を抱かせたのも、トランプ流の交渉術の1つだと考えている。

 

<中韓北・3ヵ国>による反日もそうだが、内部が不安定な政権ほど外部に敵を作って国民の求心力を高めようとする。これは金一族3代目の正恩氏も引き継いだやり方だが、米朝首脳会談によって、その反米による結束の一部が崩れた。

米国大統領との直接会談を、祖父・父もなしえなかった偉大な功績であるとたたえる向きもあるが、それはまったく逆である。北朝鮮という国は、外部と隔絶し、反米という求心力があったからこそ、金一族が70年にもわたって独裁を続けることができたのだ。

米朝首脳会談とは、その北朝鮮を守る「壁」に針の穴をあけ、そこから「トロイの木馬」を送るという側面がある。

ひたすら金正恩氏を持ち上げて、針の穴の亀裂を深めたうえで、最後に「ちゃぶ台返し」(梯子はずし)をするトランプ氏の手腕は見事としか言いようがない。

番犬が「餌を増やしてくれなければ、仕事をしないよ」といえば、飼い主は「お前にはもう餌をやらないよ」といえばいいだけのことである。トランプ大統領が席を立ち、昼食会が中止されたのはそういうことである。まさに<飯抜き>を象徴している!