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高級ワインが原価で飲める!「サンミラボ」のすごいビジネスモデル

味覚でつながるコミュニティの可能性
マネー現代編集部 プロフィール

戦略的なマネタイズ・モデル

野口さんが考える味覚の重要性や可能性は分かった。sanmi Labの画期的なシステムによって、文化リテラシーが向上する仕掛けも理解した。

ただ、高級レストランにあるような上質なワインを原価で提供して、本当にビジネスとしてやっていけるのだろうか。

sanmi Labでは、月会費980円で会員制サービスを享受できる定額課金制を採用している。翌日配達が常に無料の「Amazon Prime(アマゾンプライム)」や、4500万曲が聞き放題の「Apple Music(アップルミュージック)」などで有名な、いわゆる「サブスクリプション」である。事前に会員を募るビジネスモデルのため、潤沢にキャッシュが入るのが大きな利点だ。あらかじめヒト、モノ、カネといった経営資源の流れに見通しを立てることができる。

「月額980円の自動課金というサブスクリプションモデルで、一応生計が立てられるようになっています。あと、僕らは酒屋の免許を持っているので、その点がマネタイズには有利に働きます」

どういうことか詳しく聞いた。

 

「sanmi Labで『原価』というのは、飲食店卸価格のことです。例えば小売店で3000円で売られているワインを、飲食店では7割で仕入れることができる。つまり2100円が飲食店卸価格なのですが、その3倍、4倍の値段で提供するのが一般的な飲食店です。そこをsanmi Labでは、飲食店に卸す価格そのままでワインを提供しようというのがスタンスです」

「ただ、僕らは酒屋なので、同じワインでも6掛けや5掛けで仕入れることができる。大量発注をすればもっと安く仕入れることもある。その利幅がじわじわと効いてくることは間違いありません」

確かに、小売価格1本3000円のワインを酒屋として5掛けで仕入れたら1500円。飲食店卸価格の2100円で提供したとしても、新たに600円の儲けが出る。

「それに僕たちの最大の強みは、ワインや古酒のラインナップ。かなりこだわって力を入れているので、ワインラヴァーのお客様にとっては魅力的に映るんだと思います。例えば昨日も、2杯から3杯ほどで原価3、4万円するワインにポンとお金を使ってくださるお客様がいらっしゃいました。

そういう方々が3日連続でいらしたり、毎週いらしたりするんです。これって、これまでにあるような安い原価barではありえないことだと思うんです。僕らが目指している単価は、1人1万円から5万円ほど。一方で、安い原価barの単価はせいぜい1人3000円から4000円くらいではないでしょうか。この単価の差も大きいと思います」

なるほど単価が上がって、小売価格1本5万円のワインを酒屋として5掛けで仕入れる場合は2万5000円掛かる。一方で、飲食店卸価格は3万5000円だから、儲けは1万円に跳ね上がる。

彼らは酒屋にとどまらず、今後は自社でインポートも行う予定だという。そうなると彼ら自身が卸しの立場になるため、「うちでしか買えないワインです」といえる商品があれば、利幅もさらに大きく見込める。いずれはインポーターのみならず、メーカーの道も探っていくというから、マネタイズの戦略性には余念がない。

ちなみに、食事に関しては「原価」での提供ではないため、通常の利益となるようだ。