*一部の画像はサンミラボ提供
# 飲食店

高級ワインが原価で飲める!「サンミラボ」のすごいビジネスモデル

味覚でつながるコミュニティの可能性

昨年、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」の飲食部門で、日本一の記録を打ち立てた男が、次なる挑戦をしている。

高級レストランで提供されるワインを「原価」で飲める。好みのワインのデータがどんどん蓄積され、自分だけの「ワインダイアリー」が作れる。さらには「味覚」をもとに人とつながるコミュニティも構想中。

まったく新しい会員制ワインバー「sanmi Lab(サンミラボ)」のプロジェクトを力強く推し進めている野口良介氏に話を聞いた。
*sanmi Labの「原価」の定義については2ページ以降で解説する

取材・文/黒川なお、撮影/白井智

人は「味覚」が9割

「高校1年生のとき、付き合っていた彼女が僕に初めてお弁当を作ってくれました。とっても微笑ましくて、嬉しかった。でも、卵焼きを1口食べたとたん、僕の口には合わなくてその後は食べることができませんでした。卵焼きでこのレベルだから、その他は申し訳ないけれども食べられない。そう正直に伝えたら、彼女は号泣しました。そりゃそうですよね

「でも、そうした苦い原体験も踏まえて思うんです。味覚が9割だと。恋愛にしろ、結婚生活にしろ、味覚が合えば合うほど相手ともうまくいく。僕はそう思ってます。だから、味覚のデータをどんどん抽出していって、早く味覚のマッチングアプリにつなげていきたい」

こう話すのは、赤坂にある会員制のレストラン&バー「sanmi(サンミ)」の創業者でオーナーソムリエの野口良介氏。クールな佇まいに、時折のぞく笑顔。経営者というよりも、芸術家のような独特なオーラが印象的だ。
*以下、特に断り書きがなければ「」内は野口氏の発言

 

実はこのsanmi、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」の飲食部門で、日本一の記録を昨年打ち立てた。2018年3月30日時点で集まった資金額は、3672万円。目標金額をはるかに上回る1101%を達成している。当時さまざまなメディアにも取り上げられ大きな話題となったが、今でもその記録は破られていない(2019年3月21日現在)。

「Makuake」サイトより

高級レストランが扱うワインを原価で飲める

そのsanmiを仕掛けた野口氏が、次に仕掛けるのが「sanmi Lab(サンミラボ)」である。

sanmi Labは、高級レストランで出すようなこだわりのワインを、ほぼすべて原価で飲むことができる会員制のワインバーだ。例えば、通常なら1杯1500円で提供されるようなワインを、500円で飲むことができる。しかも気に入ったワインを、小売価格の最大30%offでオンライン購入することができる。こうした特典を月会費980円で利用できる会員制サービスである。

詳しくは後述するが、「無人×24時間×キャッシュレス」というAmazonが目指しているような近未来の業態を追求しようとしているのが特徴的だ。ワインは専用の「自動販売機」から自分自身で注ぎ、料理も高級缶詰やお取り寄せグルメなど、sanmiが厳選した商品を専用の自販機で購入する独特のスタイルを採用しようとしている。

「高級レストランが扱っているワインが原価で飲めるというのがすごく重要で、そこにこだわりました。原価をウリにした飲食店はあるものの、僕からすればラインナップがまぁひどい。ワインラヴァーには一切響かないラインナップや品質で、正直なところ面白くないと思っていました。だったら、僕らが厳選した上質なワインや古酒を100種類くらい集めて、めちゃくちゃお安く飲める店を作りたい。そのためにどうするか考えていました」

さらに、sanmi Labでは自分が飲んだワインのデータが勝手に蓄積されていくようなシステムを構築しようとしている。飲むだけで「自分だけのワインダイアリー」が作られていくので、おのずとワインのリテラシーが向上していく。このようなシステム面の展望も非常に画期的だ。

「フィロソフィーには『ワインによって(酔って)日本の文化リテラシーを向上させる』を掲げています。レストランに詳しい方が必ずしもワインにも詳しいとは限りませんが、ワインに詳しい方ってレストランだけじゃなく、絵画や音楽、オペラ、酒器、空間など芸術に対しても詳しいし、興味関心の幅が広いんです。

文化リテラシーの高い方が多いというのが僕の実感です。なので、日本人の文化レベルを上げることによって、例えば収入が上がったり、生活レベルが上がったり、最終的には日本の国力が上がっていくといったところまでイメージして、今回のプロジェクトに取り組みました」

sanmi Labの公式アプリも構想中だ。

「何より、味覚が今後いろんなバロメーターになると思うんです。だから早くsanmi Labのアプリを作って、さまざまな味覚の情報がどんどん貯まる仕組みを整えたい。sanmi Labで取り扱うすべてのワインのラインナップがデータで揃っていて、ワインの説明が閲覧できる。そして、飲んだワインには自動的にチェックが入り、それに対して自分好みなら『いいね!』のようなボタンを押す。酔っ払って写真を取り忘れるなんてあるあるもなくせます(笑)。

自分の味覚の嗜好がわかることでこれは絶対、自分好みだとソムリエがいなくても、まだ飲んでいないワインでもわかるようなそんな世界をイメージしたアプリです」

「あと、これはユーザ同士の合意が必要ですが、集まった味覚のデータをもとに、味覚の合う人同士がアプリケーションを通じて出会う、友達になれるようなコミュニティが作れるといいですね。同性異性にかかわらず、人とのつながりを味覚でマッチングできるサービスが作れたら、すごく濃密で面白いコミュニティが生まれると思うんです」

壮大なsanmi Labのプロジェクトは、現在Makuakeで公開中だが(プロジェクトページはこちら)、すでに目標金額の1500%を超える、500万円以上の資金が集まっている(2019年3月21日現在)。