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# 介護

親が元気なうちに必ず聞いておきたい「どれくらい財産があるか?」

「お金のない介護」にならないために
「お母さんが倒れた! 早く病院に来て!」……誰もが突然、直面する可能性のある介護の問題。そのとき心強い味方になってくれるのが、父・祖母・母を連続で介護し、2度の介護離職をした経験のある工藤広伸氏の著書『ムリなくできる親の介護』だ。工藤氏がまず勧めるのは、親が元気なうちに「どれくらい財産があるか」を聞いておくこと。介護には多額のお金がかかるからだ。私たちが今日からできる「準備」について、工藤氏にくわしく教えてもらった。

もっとお金の話をしよう

「わたしの息子や娘は、工藤さんみたいな介護をしてくれるだろうか」

講演会に参加される60歳以上の方は、わたしに自分の子どもたちを重ね合わせて聴いています。わたしは介護経験者として、親世代にこのようなお願いをするようにしています。

「お子さんたちは、親御さんの財産状況を知りたがっています。それは介護のためです。でも、元気な親に財産のことは聞きづらいので、エンディングノートなどを使って、銀行口座のありかや借金の記録を残しておいてください。子どもからいい介護が受けたいのなら、ぜひ行動に移してください。終活セミナーにも参加してみてください」

一方で40代、50代の参加者が多い講演会では、「元気な親に聞きづらいことかもしれませんが、財産の状況を聞き出してください。介護ができるくらいの費用があるのか、葬儀代はとってあるか、借金はあるのか、具体的な金額がわからなくても、雰囲気だけでもつかんでください」

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このように、親世代、子世代の両方に対して、財産をオープンにすることの重要性を説いています。

なぜ、このように訴えるかというと、介護が必要な家族に財産があるかないかで、子どもたちの人生が大きく変化するからです。もし家族が財産を持っていないのなら、子どもたちは介護と仕事を両立させながら働き、介護費用を捻出しなければなりません。住宅ローンや教育ローンも抱えている場合、介護費用は大きな負担となります。

もし、親がある程度の財産を持っているのなら、そのお金で介護費用はやりくりできます。

 

わたしは、「お金のある介護」と「お金のない介護」の両方を経験しています。お金のあるなしで、介護はどう違ったのかを紹介します。

まずは、お金がある介護です。

「何かあったら、銀行にあるお金を使いなさい。葬儀代くらいは残してあるから」

わたしが小さい頃からの祖母の口癖だったので、祖母が子宮頸がんで倒れ、医療費が必要になったとき、このことをすぐに思い出しました。しかし祖母は認知症だったので、どれだけの貯金を持ち、どの銀行に口座を持っているかまで、聞き出すことはできませんでした。

とりあえず、近所の金融機関に行ってみると、「自分で判断できない方に関しては、家族でもお金をおろすことはできません」と言われてしまいました。結局、祖母のお金を使うことはできず、わたしがとりあえず立て替えることになったのです。

その後、病院で教わった成年後見制度を利用し、わたしが近所の銀行すべてを調査し、祖母の口座があるか、預金はあるかをチェックした結果、実際に葬儀代が残っていることがわかりました。大変な思いはしましたが、わたしは介護費用を立て替える必要はなくなり、「お金のある介護」が実現したのです。

祖母の財産は、娘であるわたしの母に相続されたため、母の介護費用を負担する必要はありません。わたしの時間を母の介護に提供することにはなりますが、お金までは提供する必要がないことがわかっただけで、だいぶ助かりました。