年収1400万の「パワーカップル」が陥るマンション購入の落とし穴

借入額は年収の「4倍台」まで
榊 淳司 プロフィール

それでも生活は楽ではない

夫婦ともに年収が700万円以上の世帯を、「パワーカップル」と呼ぶのだそうだ。世帯年収は1400万円以上ということになる。金融系シンクタンクであるニッセイ基礎研究所の定義だそうだ。

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東京とその周辺エリアに住む男性サラリーマンの年収の目標は、まず1000万円ではなかろうか。700万円だと「あと二歩」くらいだが、全体から見れば中の上あたりだろうか。

女性の場合、年収が700万円超というのはハードルが高そうだ。私見ながら、大手企業のキャリアでないと700万円には到達しにくいと思う。ある統計数字によると、世帯年収が1400万円超は全体の1.8%だそうだ。

この数少ないパワーカップルが、2017年ごろから都心近郊のマンション市場で、それなりの存在感を示し始めた。夫婦合わせて住宅ローンを組んで、6000万円から1億円超のマンションを購入しているというのだ。

日本では2013年からの「異次元金融緩和」で、年収の7倍程度なら住宅ローンを組んでの購入が可能となっている。

パワーカップルの場合、負担額に応じてそれぞれが住宅ローンを組む。夫婦合わせて1400万円の世帯年収があれば、年収1400万円のサラリーマンとほぼ同額の住宅ローンが借りられる。今なら年収の7倍くらいまではローン審査が通るから、合わせて9800万円程度の住宅ローンが可能になる。

 

しかし、果たしてそういったマンションの購入に死角はないのだろうか?

サラリーマン夫婦の世帯年収が1200万円から1500万円に達すると、彼らの消費感覚が大きく変わる。「自分たちは高額所得世帯だ」と考え始めるのだ。

たしかにそのとおりだ。ただ、それで普通の世帯よりも贅沢な暮らしができるかというと、それは住居費にいくら使うかによる。

世帯年収が1400万円であっても、住宅ローンの返済や管理費などの維持コストに年間450万円程度の支出が発生すれば、その暮らしぶりは、郊外で月8万円程度の賃貸マンションに住む年収700万円の専業主婦世帯と、そう大して変わらなくなる。

世帯年収1400万円なら扶養控除もつかない。Wインカムだが、税金や社会保障費などの負担額もWになる。

東京の人気エリアでそれなりのマンションを購入し、子どもひとりに十分な教育を受けさせながら育てていくのなら、世帯年収が1400万円でも決して楽ではない。子どもが2人になれば、かなり苦しくなる。