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年収1400万の「パワーカップル」が陥るマンション購入の落とし穴

借入額は年収の「4倍台」まで
「終の棲家」であるはずのマンション。しかし、このままでは数十年後、多くのマンションが「廃墟化」するという。どうすればマンションが「粗大ゴミ」になるのを食い止められるのか? 『すべてのマンションは廃墟になる』の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、これからの時代、無理な住宅ローンを組んでマンションを買うことはご法度だと警鐘を鳴らす。マンションに人生を奪われないために知っておくべき購入時の注意点を、榊氏が教えてくれた。

「家を買わない時代」が訪れる

最近はあまり使わないが、「うだつが上がらない」という言葉がある。「仕事ができない」、「稼ぎが悪い」といった意味で使われている。

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しかし、「うだつ」とは、諸説あるが、隣家とのあいだに設ける一階と二階の間の屋根つきの壁のことである、という説が有力だ。つまり、うだつを上げられるというのは、「立派な家を建てた」という意味になる。

日本人はまとまったお金が入ってきたり、収入が増えたりすると、だいたいは住宅を買う。あるいは、新築で建てる。都会に住んでいれば新築マンションを買う、ということになる。

40歳を過ぎて、子どもが学校に通っているのに、持ち家ではなくて賃貸に住んでいると、「まだ買っていないの?」という目で見られる。一人前の大人は持ち家に住んでいなければいけない、というのが日本社会の「空気」なのだ。

だから、「うだつが上がらない」という価値観は、今も濃厚に生きている。しかし、果たしてこの価値観は、これからの日本人を幸せにするだろうか?

私のところには、マンションの購入や売却について、多くの方が相談に見える。特に購入を考えている方の発想は、「家賃を払っているよりも、買ったほうが得だろう」というベクトルが多い。

これは、そのとおりである場合もあれば、そうでない結果になることもある。エリアや物件、そのときの市場の状況などによる。今(2018年12月時点)の東京の都心エリアのように、購入価格が家賃の30年分以上にもなるバブル状態の場合は、賃貸にしておいたほうが無難だ。

 

日本では、基本的に住宅が余っている。今後は大都市でも人口は減っていき、世帯数の増加も止まる。住宅に対する需要は細る一方だ。ところが、「うだつを上げたい」日本人が多いので、毎年80万戸から100万戸の住宅が新築されている。

この需給ギャップは、いずれ住宅価格や家賃の下落となって表面化するはずだ。現に、地方の住宅には値段がつかないほど下落したものが多い。東京の郊外でも、老朽化した戸建てやマンションは数百万円で売買されている。

こういった下落の波はいずれ、今はバブル化している東京の都心や、価格上昇の圧力がかかっている大阪市の中心エリアにも及んでくるはず。

この先、若者たちは、住宅価格や家賃が上がるのではなく、下がるのを目の当たりにしていくことになる。そういった時代になっても、日本人は依然として「うだつを上げよう」とするだろうか?

特に、都会人の住形態の主役である分譲マンションについては、今後、老朽化やスラム化、廃墟化が社会問題となる。廃墟化しそうなマンションに住んでいる場合、その物件が賃貸ならば引っ越せば問題は100%解決。

ただ、区分所有者はそういうわけにはいかない。管理組合の一員として、この厄介な問題に向き合うしかない。

若者が車を買わなくなったと言われて久しい。次は、「家を買わなくなる」時代が、もうそこまでやってきている。