2011.06.01(Wed) 内藤 忍

「最善を望みながら、最悪を覚悟する」
ストレスに強い賢人の危機管理術に学ぼう

河合薫さん(健康社会学者)に聞く「食とストレス」 Vol.2

筆者プロフィール&コラム概要

内藤: それはそうです(笑)。

河合: どうして? お金別にくれなくていいじゃん! って。だって、絶対安心なんでしょって?

内藤: 「原発まんじゅう」なんていうのもある。事故もなくやっていた間は、経済的にもうるおっていたはずです。発電所の検査のときは何千人と人がやってきて、みんな地元で食べたり飲んだり。いままで寂れていた村に、恵みの新しい産業が来たみたいなところもあった。もちろん危険性を指摘して反対していた人たちもいたのですが。

福島第一原発〔PHOTO〕gettyimages

河合: でも話を聞いてみると、原子炉が古かったとか、あんな海辺にあるのに、津波を想定していなかったのかとか、今から思うと誰が聞いてもおかしいって思う。でも、そのうまくいっているときは、見えなくなってしまうんでしょうね。

内藤: バブルと一緒ですね。

河合: そうですね。夢の世界のように光り輝いていたのに、魔法がとけた瞬間、ある日あれ、なんでこんなバカなことやっていたんだろうって。

内藤: 相場に例えれば、バブルの頃は日経平均が10万円になると思っていた人がたくさんいた(笑)。ところが、ある日から日経平均が下がりはじめる。それを見ても、たまには下がる、でもいずれ戻ると思っている。すると、1000円下がり、2000円下がり、どんどん下がりはじめて、なんかこれ変じゃないのかなって思いはじめる。でも、何も手を打たないでいたら、結局日経平均は半分くらいになってしまった。そこで、いよいよ、いつものと違うかもしれないぞって思いはじめて、あわてて何かはじめてみたけれど、もう手遅れ。

河合: 人間ってちょっとだけおバカな存在なんですよね(笑)。天気予報でもそうなんですけど、たとえば、私が番組で天気予報コーナーを担当していたとき、1週間分の予報を週はじめに組み立てるのですが、月曜日から火曜日くらいまでお天気が良くて、水曜日から木曜日くらいは天気悪そうだとイメージして、木曜日に雨マークをつける。

 ところが、火曜日も、水曜日ももの凄く天気が良い。天気図を見ても結構晴れる地域が当初の予想よりも多い。するとそのうち、晴れっていうことばかりに目がいって、木曜日を雨だと予想していたことを忘れてしまうわけです。目の前の天気図ばかりに一生懸命になると、そこで晴れると予想してしまう。すると突然雨になり、あれ、そうだ、私が日曜日に組み立てたときは、木曜日は雨だと予報していたのに、なんで忘れちゃったんだろう・・・みたいなところがあるんですよ。

内藤: そういうふうに、良いことが起こりはじめると、良いように考えちゃいますよね。

河合: 人は調子に乗っちゃうんです。

内藤: 天気も予想するのは難しいと思うんですけど、地震もすごく難しいですよね。

確率を鵜呑みにしない

河合: ある地震の専門家の先生は、「地震は予知できない」と断言する。ところが、一方で「次は〇×が来ますよ」と言っている地震学者もいる。しかも、結構嬉しそうに予想していたりするわけです(苦笑)。「来ますよ、マグニチュード8、9の余震が来ますよ」って。

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(ないとう・しのぶ) 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長。
1986年東京大学経済学部卒業。91年、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問株式会社、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。「日経マネー」などの雑誌での連載コラムや、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。また、早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『内藤忍の資産設計塾』(自由国民社)シリーズのほか、『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎)『初心者は株を買うな!』(日本経済新聞社)、『内藤忍の「好き」を極める仕事術』(講談社)など多数。


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