2011.06.01(Wed) 内藤 忍

「最善を望みながら、最悪を覚悟する」
ストレスに強い賢人の危機管理術に学ぼう

河合薫さん(健康社会学者)に聞く「食とストレス」 Vol.2

筆者プロフィール&コラム概要

内藤: 事実が見えてきたってことですね。

河合: 昔は社会の中に、ある程度ヒエラルキーがあって、それは絶対崩れるものじゃなかったものが、安心しすぎて歪みがいま露出している時期だと思うんです。いままで絶対だと思ってきたものが崩れたということは、突然今日ダメになったんじゃなくて、ずっと何かが起こっていたはずです。

内藤: 実はすでに腐りはじめていたんですね。

河合: それを絶対的だと思い込んでいたから腐りはじめているものが見えていなかった。ポキンと折れたときに、ああまずいと思う。でも、ポキンと折れても、まだ大丈夫と思っている人たちがたくさんいるから、東電もそうですが、初動が遅くなったんでしょうね。

内藤: 今回の震災対応もそうですが、何でも50年くらい経つと、溜まっていた歪みが顕在化しはじめて、物事がうまくいかなくなりはじめると思うんです。たとえば、戦後から50年近く経って、1990年代になって、日本社会ってなんか変、と感じるようになりました。丁度海外から日本に帰国して、その違いが見えたからというのもあるかもしれませんが。

 ライブドア事件も、犯罪は許されないとしても、既得権益に一人の若者が挑んでいったら潰されちゃった、という見立てもできます。そんな日本の歪みが、津波という天災をきっかけに、あぶりだされたように思います。

 震災後の政府の対応とか、東電、経産省、保安院の関係など、いままで変だと思っても放置されてきた。歪みが1つの引き金をきっかけに、全部さらされたような気がします。

河合: 見えなかったものが、露出してしまったんですね。

内藤: 時間が経過して組織が実態にそぐわなくなってきて、それを今回、変えなくてはいけないというメッセージだと思うんです。戦後もシステムが変わったから日本も成長しました。今回もそれと同じようなことが起きているのだから、変わるきっかけにならないと、もし、このままいまの官僚制度などが温存されて、結局なんとなくごまかしてしまうと、もう日本の終わりかなと。

変わらないことが大事

河合: 日本は復活すると言う人と、日本はもうダメだと言う人がいまね。

内藤: 私は制度をちゃんと変える力があるかどうかにかかっていると思います。日本人は個々人は優秀ですが、結局組織とか仕組みができていないとそれが活かされない。現場でがんばっている人はたくさんいるのに、トップのやっていることが滅茶苦茶だと、せっかくのそのがんばりがムダになってしまう。

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(ないとう・しのぶ) 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長。
1986年東京大学経済学部卒業。91年、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問株式会社、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。「日経マネー」などの雑誌での連載コラムや、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。また、早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『内藤忍の資産設計塾』(自由国民社)シリーズのほか、『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎)『初心者は株を買うな!』(日本経済新聞社)、『内藤忍の「好き」を極める仕事術』(講談社)など多数。


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