ピエール瀧「関わった作品、全部抹消」本当にそれでいいんですか?

もちろん、罪は罪、なのだが…
週刊現代 プロフィール

批判される前に即対応

収監される可能性は低い。判決後はすぐに社会復帰を目指すことになるが、その道は険しい。

「彼の才能に惚れ込んでいる映画監督は何人もいるでしょう。更生するなら起用してもいいと言う監督もいると思います。ただし薬物使用というイメージを鑑みれば、厳しいのではないでしょうか。

近年では、酒井法子さんや田代まさしさんがそうですが、現在多くの映像作品に出演しているとは到底言い難いですから」(前出・前田氏)

かつてならば薬物使用で逮捕された後も、第一線で活躍を続けるミュージシャンが数多くいた。性犯罪と違って、薬物事案は被害者がいないことが大きな理由だろう。

だが、コンプライアンスとモラルが声高に叫ばれるいまのインターネット時代はそう簡単ではない。薬物の取引は反社会勢力の資金源であり、芸能人が薬物で逮捕されることの社会的影響力は計り知れないからだ。

それでもなお、少なくとも瀧の過去の作品や撮影済みの作品が埋もれてしまうことはあまりに惜しい。元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学教授の影山貴彦氏もこう指摘する。

「昨今のメディアはネット上の反応に及び腰になり過ぎてはいないでしょうか。ネット社会のすべてが悪いとは言いません。しかし、可視化できるコメントが社会の全てではないはずです。

新井浩文が逮捕された時もメディアの対応は早かった。当時、出演中だったドラマ『今日から俺は!!』(日テレ)からは登場シーンが早急にカットされた。テレビ局側はネットで批判が出る前に即対応するケースが増えたと思います。

ですが、かつてメディア側は批判があったとしても、しっかりと受けとめ、時には対峙していたはず。少なくとも、すぐに折れて打ち切るということはありませんでした。

作り手の矜持、これをもっと視聴者側に投げかけたらいい。『皆さんが許してくれるならばどうぞ作品を楽しんでください』という姿勢で臨んでもいいのではないでしょうか。

批判されるかもしれませんが、そこでキャッチボールをすればいい。それによって作り手も受け手も成長していく。あくまで選択するのは視聴者や観客なんです。作品に罪はありません」

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代わりの役者が思いつかない

だが、新井と瀧がいなくなった日本の映画やドラマは、どんどんつまらなくなっていくだろう。彼らの代わりの役者は思いつかない。

映画評論家の高崎俊夫氏はこう言う。

「今回の事件で、4月に公開予定の『麻雀放浪記2020』など、瀧の出演作がお蔵になるとすれば、そんな風潮こそおかしいと思いますよ。

ピエール瀧は、とりわけ映画においては、どこかユーモラスで、なおかつ冷酷極まりないアウトローを演じる時に、際立った魅力を発揮しました。こういう『悪』のグラデーションを自在に表現できる俳優は希少だし、得難い存在といえます。

この才能を、教条的なモラルで圧殺してしまってはならない。私は再び彼の演技に触れる機会を待ちたいと思います」

発売中の週刊現代ではこのほかにも、ピエールの父が語った息子への想いや、過去の犯罪事例や家族を大切にしていたピエール瀧の様子などにもふれ、特集で掲載している。

「週刊現代」2019年3月30日号より

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