急落後こそ日本株は宝の山…プロが儲ける「ラグ・バイバック」の手口

自社株買い候補銘柄をじっくり拾う
大川 智宏 プロフィール

急落後に焦らず狙う「ラグ・バイバック戦術」

結果は察しがつくと思うが、日本は貯金大好き民族の集合体としての内部留保大国であることに加え、昨今の好業績が重なったことで自己資本は膨れ上がり、欧米の水準を超えて40%を上回っている。

それだけに、これの消化にかかる外的な圧力も世界屈指だ。

図表:日米欧の自己資本比率の推移(金融除く)

拡大画像表示出所:Datastream

続いて、個別銘柄の自社株買いの傾向についてだ。

 

相場が急落を始めた2018年以降で、発行済み株式数の3%を超える比較的大きい自社株買いを実施した銘柄を抽出し、自己資本比率を集計した。

平均値も中央値も50%を超え、日本全体で自己資本比率が高騰する中でもとりわけ高い印象だ。

図表:自社株買い実施銘柄の自己資本比率

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そして、これに加えて自社株買いの発表日の前月末までの過去3ヵ月リターン(TOPIX相対)も同様に集計した。

ここで、過去のリターンを見る理由は、単純に市場に対して株価が弱ければ、自社株買いを実施して株価を支える同期が発生するからだ。

図表:自社株買い実施銘柄の過去3ヵ月リターン(TOPIX相対)

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ただでさえ強い下落基調にあった2018年以降の相場だが、それをさらに4%~5%下回る弱い数字だ。そして、この高自己資本比率かつ低リターンを満たす銘柄を保有する株主の観点からは、自社株買い実施への強い圧力をかけたくなるのは当然だろう。

何にせよ、戦術的には急騰、急落相場の最中に焦って動く必要はまったくない。

日々市場が乱高下する中で、のんびりと急落を眺めたあとに、落ち着いてから高自己資本比率・低リターン銘柄に投資する「ラグ・バイバック戦術」は、精神的にも経済的にも優しい投資法と言えそうだ。

参考までに、次ページに銘柄の例を30銘柄ピックアップした。