急落後こそ日本株は宝の山…プロが儲ける「ラグ・バイバック」の手口

自社株買い候補銘柄をじっくり拾う
大川 智宏 プロフィール

自社株買いに注目せよ

一方で、この下落で割を食っていたのは、明らかに国内の法人投資家である。

〔photo〕gettyimages

2018年始からの下落トレンド形成後も、海外投資家が売りに転じたと同時に法人主体は買い向かっている様子が分かる。両者はほぼ完全な逆相関だ。ナンピン買い、というと聞こえはいいが、この図を見るかぎり国内法人主体は買い下がって損を重ねていたようだ。

ただ、この国内法人主体についても、以下のように詳しく分類すると面白い動きが観察される。

図表:事業会社、信託銀行、投資信託の売買累積額とTOPIXの動き

拡大画像表示出所:東証、Datastream

条件反射的に下落相場の最中に買い増しているのは、悲しいことに投資のプロである投資信託と信託銀行だ。

一方で、何やら個性的な動きを見せているのは、事業会社である。

彼らはここ数年で最大の日本株の買い手であるが、そもそも投資主体としての位置づけが「自社株買い」で他者とは事情が異なるうえ、その買い方も特徴的だ。信託系の主体とは異なり、急落の最中は売り買いがほぼフラットで、買い向かうことはほとんどない。

彼らが急に買い越しを始めるのは、上図のように急落が落ち着いて底をついて「少し経ってから」である。

 

この理由は単純で、彼らは株価の急落に対して機動的に動く術を持たず、株価が下がってから対策を議論、決議せざるをえないことに起因する。そして、実際に決定して買い付けるまでにはタイム・ラグが発生するのだろう。

もしくは、相場の底を見極めてからでないと自社株買いの規模などを算定できない事情があるかもしれない。

そして、これを踏まえたうえで重要なのは、今後の日本企業の自社株買い増加の可能性と、具体的な銘柄である。

前者は、単純に他国と比較して自己資本比率が高い水準にあれば、コーポレートガバナンス・コードで標榜された投資家との対話の観点から膨れ上がった資本の消化に対する圧力は増すと想定され、消却までを含めた自己株の取得は今後も増加する可能性は高い。

世界的に景気の見通しが悪化する中で、積極的に設備投資をせよと命ずる株主はまず存在しないだろう。