000、500は名著の証? 現代新書のキリ番をふりかえってみた
創刊55周年、通巻2500番を記念してはじめまして、ナナさんの後を引き継いで、現代新書でアルバイトをさせていただくことになりました、大学院生のショウと申します。本記事を書かせていただきます(こちらの記事で噂されていた、読了した現代新書をリストアップしている学生、というのが僕です)。
僕は現代新書の大ファンで、これまで150冊ほど読んでいるのですが、この記事をまとめるにあたり、まだまだ僕の知らない名著がたくさんあることに、ひそかに興奮していました(笑)。
では早速ですが、現代新書の「キリ番」、心をこめてご紹介させていただきます!
1番→350番、都留重人『経済学はむずかしくない』
ミクロ経済学、マクロ経済学、ケインズ理論はどのようにして生まれたのか?
基本に立ち返り、平明に経済の構造を解き明かした名著が待望の復刊!
1964年刊行。現代新書の記念すべき第1番です。後に、改訂版として1974年に「経済学はむずかしくない(第2版)」が刊行されました。
「この(初版が出てから)10年間に物価がものすごく上がってしまった」(本書6p)という言葉には、隔世の感がありますが、その中身は、私たちの経済に対する素朴な疑問に答えてくれるものです。
「物価はどうしてあがるのか?」「賃金はなぜ人によって違うのか?」といった、市民の目線に立った疑問と、その明晰な答えが秀逸で、学問と生活が交わる、まさに「教養」を深めるための本と言えるでしょう。
500番→学術、中根千枝『タテ社会の力学』
1978年刊行。現代新書の売り上げベスト1、現在までに約117万部(!)を発行している『タテ社会の人間関係』の著者・中根千枝先生の新たな著書です。もともと、現代新書500番として刊行されていましたが、その後、学術文庫に収録されることになりました。
日本においての、「常に顔を合わせ、仕事や生活を共にする人々からなる小集団」(本書23p)の重要さを提言し、それは「欧米の個人に比敵する」(本書40p)と言います。それゆえ、日本において「仲間外れ」は厳しさを増すのだとも。
そして日本は、むしろタテ社会であるがゆえに、欧米に比べて上の命令を聞かないということが起こりうるのだと主張します。意外な主張ですが、その理由はぜひ本書を読んでみてください。
1000番→921番『現代思想を読む事典』
1988年刊行。本当は今村仁司先生の別書『作ると考える』が1000番なのですが、残念ながら絶版ということで……代わりに、現在でも手に入る、今村先生が編集された本書を紹介します。
内田樹氏、廣松渉氏、鷲田清一氏……などなど、現代日本の知の巨人が勢揃いしています。マルクスやフロイト、ニーチェなどの思想はもちろん、イスラムやカフカについてまで、幅広く解説しています。
